• TSRデータインサイト

「ビットフライヤー」など仮想通貨交換業者6社に行政処分、甘い管理態勢にメス

 6月22日、金融庁は改正資金決済法の登録業者の(株)bitFlyer(東京都港区)や「Zaif」を運営するテックビューロ(株)(大阪府大阪市)など仮想通貨交換業者6社に対し、業務改善命令を出した。テックビューロに対する業務改善命令は2度目。
 金融庁は、各社の管理態勢やマネー・ロンダリング、利用者保護などの立ち入り検査をしていた。仮想通貨価格の乱高下が続いているが、検査では顧客獲得を優先し管理態勢が追い付かなかったケースが目立った。各社に経営管理態勢の不備が見つかり、一部の仮想通貨交換業者は反社会勢力との取引や顧客の資産を分別管理ができていないなど、多くの問題が見つかった。
 処分を受けた6社は、業務改善計画を7月23日までに書面での提出を求められている。


 6月22日、金融庁から業務改善命令を受けた6社とその理由は以下のとおり。
◇(株)bitFlyer(TSR企業コード:300361289)は、コストを抑えることを優先し内部監査を含めた内部管理態勢を整備していなかった。また、登録審査等に関して金融庁へ事実と異なる説明を行ったことなどが判明。「ビットフライヤー」は、新規顧客の登録を自主的に停止することを発表した。◇QUOINE(株)(TSR企業コード:013144944、東京都中央区)は、海外のグループ子会社の委託業務の管理を徹底していなかった。また、法定帳簿が長期間にわたり未作成の状態だったことなどが明らかとなった。
◇ビットバンク(株)(TSR企業コード:300521740、東京都品川区)は、業容拡大を優先し社内規定が業務の実態とかい離していた。また、利用者の預託金が帳簿上の残高を頻繁に下回る事態が発生するなど分別管理に問題が認められた。
◇BTCボックス(株)(TSR企業コード:300468474、東京都中央区)は、業容拡大を優先する一方、代表取締役に権限が集中。取締役会及び取締役等が職責を十分に果たしていなかった。◇(株)ビットポイントジャパン(TSR企業コード:017566720、東京都港区)は、利用者の預託した金銭が帳簿上の残高を継続的に下回る状況が予想されたが、取締役会で当該状況の解消策を検討していなかった。
◇テックビューロ(株)(TSR企業コード:576983667)は3月8日、実効性あるシステムリスク管理態勢や適切に顧客対応するための態勢構築について金融庁から業務改善命令を受けていた。今回の業務改善命令は、システム障害や多発する苦情などの経営課題に対し、取締役会で議論していないなど経営管理態勢に問題があった。また、マネー・ロンダリングやテロ資金供与対策、利用者財産の分別管理などにも問題が認められ、異例の2度目の業務改善命令を受けた。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年6月26日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ