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日本海洋掘削が会見「地球深部探査船ちきゅうの運用に支障はない」

 6月22日、日本海洋掘削(株)(TSR企業コード:290382459、東証1部)が負債904億円(単体)を抱え、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。同日18時半から都内で記者会見を開いた。
 会見には市川祐一郎社長、申請代理人の近藤直生弁護士(弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所)らが出席。冒頭、市川社長が債権者などのステークホルダーにお詫びし、連結ベースの負債総額は860億円に上ることを明らかにした。

 日本海洋掘削は地球深部探査船「ちきゅう」の窓口業務と管理を手がけている。実際のオペレーションは日本マントル・クエスト(株)(TSR企業コード:297540335、東京都)が手がけ、今回の会社更生法の申請が「ちきゅう」の運用に支障を来すことはないと述べた。とはいえ、日本マントル・クエストの筆頭株主は日本海洋掘削だ。
 原油価格の下落に伴う石油会社の掘削投資の減退で、日本海洋掘削は2016年3月期から3期連続で当期純損失を計上した。足元では原油価格が上昇基調に転じているが、「石油会社が恩恵を受けて開発に移行するには半年から1年かかる。リグ稼働率は上がったが、リグレートが上がっていない」(市川社長)と業績悪化の要因を説明した。
 今後の経営体制を問われると、市川社長は「我々が更生計画を図って段取りしていく」と語り、DIP型の再建を模索する意向を示した。

 2016年まで続いた原油価格の低迷により、各国の石油会社でリグ稼働をペイできない状態が続き、世界的に稼働数も低迷。日本海洋掘削もその影響を受け、受注が減少。補てんを目的にメタンハイドレート産出試験など石油掘削以外の事業にも積極的に乗り出したものの、採算が厳しい状態が続いた。

会見する市川社長(6月22日)

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