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ギフト共同仕入の全通「任意整理、または破産を予定」

 4月10日に再度の資金ショートを起こして行き詰まりを表面化していた(株)全通(TSR企業コード:291988130、江東区、髙橋睦社長)は6月20日、都内で債権者向けに説明会を開催した。会社側からは髙橋社長のほか、代理人を務める鈴木正巳弁護士(鈴木正巳法律事務所)らが出席。債権者約200名が参加した。
 冒頭、髙橋社長から債権者向けに向けてお詫びがあり、倒産に至った経緯などが報告された。経緯として、ギフト商材の多様化や市場低迷を背景に加盟店が激減したことや加盟店とメーカーとの直接取引の横行、弱体化した加盟店への営業債権が不良化し増大していった点、支払条件が手形払いから現金払いに代わって資金繰りを圧迫した点などを挙げた。
 その後、鈴木弁護士が負債と資産の状況、今後の方針を説明。その後、質疑応答となった。

主な説明内容

 負債総額は総債権者数356名に対して22億3,375万円(金融債権13億3,881万円、一般債権8億6,492万円、リース・その他債権3,002万円)。これに対して、売掛金が帳簿上は6億1,039万円あるが、このうち債務者の倒産などで回収見込みが立たないものがあり、実際に回収可能性が想定されるのは8,000万円程度。このほか、営業保証金(約80万円)と不動産があるが、不動産は借地で債権者からの仮差押えを受けている。
 今後の方針は、全通としての事業の再建は断念し、任意整理、または破産による清算を予定している。債権者の意見を聞いて決定する。

主な質疑応答

Q.親会社の(協)ジャパンギフトチェーンの加盟社の責任を問うつもりはないか?
A.計画倒産などではないため、法的責任はないと考える。道義的責任は経営への影響度合いなども鑑みて検討する可能性もある。
Q.任意整理か破産かということだが、任意整理の場合はどのくらいがめどか?
A.債権回収のための民事訴訟を起こすどうかで変わる。(起こした場合は)1年半から2年くらいはかかる。破産になったとしても破産管財人が民事訴訟を起こせば全て終了するまではそのくらいはかかる。
Q.破産か任意整理かはどのように決定するのか?
A.後日、アンケートを発送させてもらう。
Q.赤字だったのに黒字に見せかけて法人税を払っていたのか?
A.法人税を払っていた。利益を粉飾して黒字にしていた。
Q.(質問ではないが)簿外での貸付などの粉飾決算が発覚している。全容を解明してほしい。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年6月22日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)


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