• TSRデータインサイト

監査法人アヴァンティアに行政処分を勧告

 公認会計士・監査審査会は5月18日、中堅の監査法人アヴァンティア(TSR企業コード:297451359、千代田区)に対し、運営が著しく不当であるとして金融庁に行政処分などの措置を講じるよう勧告した。今後、金融庁による審査を経て、勧告が認められれば業務改善命令などの行政処分が下される見込みだ。

 公認会計士・監査審査会の検査結果によると1.業務管理態勢、2.品質管理態勢、3.個別監査業務、のそれぞれで多数の重要な不備が認められた。監査品質を軽視し業務拡大に見合った人員や体制構築に向けた取り組みに改善がみられない、監査契約の新規受嘱に時間をかけ、品質管理業務が十分でないという。
 また、個別監査業務でも期末近くの利益率の異常値を軽視し、被監査会社の事業や取引の理解を踏まえた監査リスクを評価していない事例もあるなど、著しく不十分とした。

監査を手掛ける上場企業は21社

 

アヴァンティアは2008年に設立。上場企業21社(うち、新興市場14社)を含め、50社前後の監査業務を手がける中堅の監査法人だ。急速にクライアント数を伸ばしたが、人員確保が伴わず業務・品質管理などに不備が生じていた。 アヴァンティアは処分勧告が出た5月18日、法人代表名で「今回の事態を厳粛に受け止め、深くお詫びする」との声明を発表した。
 また、アヴァンティアは東京商工リサーチの取材に、「昨年8月に立案、推進している自主改善計画の履行を進めている途上で、引き続き努力する」とコメントした。
 公認会計士・審査会による処分勧告は2017年6月、監査法人アリア(TSR企業コード:296881589、東京都港区)にも出されている。これに対し、同法人は「大多数の事実誤認に基づく、虚構の不当な文章」と反論、司法の場で明らかにするとして提訴した。それから1年以上経ったが、行政処分は下っていない。公認会計士・審査会の担当者は「アリアへの処分勧告は、現在も金融庁による審査が続いている」と話すにとどめる。
 アヴァンティアに対する勧告は「現在、金融庁による審査中」(公認会計士・審査会の担当者)だが、監査法人側も全面的に指摘内容を認めており、近く行政処分が下りるとみられる。
 今回の事態を受け、アヴァンティアのクライアントで監査法人の変更を表明した上場企業はない。だが、行政処分の内容によってはクライアント離れが進むことも懸念され、しばらくは目が離せない状況が続く。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年6月20日号に、監査先企業21社のリストを掲載予定)

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「鰻の成瀬」、株式譲渡を巡り対立が表面化~ 仮処分決定と株主間契約 ~

うなぎ料理専門店「鰻の成瀬」のフランチャイズ(FC)やコンサルティングなどを手掛けるフランチャイズビジネスインキュベーション(株)(TSRコード:136729983、滋賀県、以下FBI社)の周辺が騒がしい

2

  • TSRデータインサイト

キーボード「FILCO」のダイヤテック、忸怩たる破産 ~ 為替デリバティブと需要減、綱渡りの資金繰り ~

パソコン用キーボード「FILCO(フィルコ)」で知られあるダイヤテック(株)(TSRコード:292026617、東京都)が負債2億円あまりを抱えて4月30日、破産開始決定を受けた。

3

  • TSRデータインサイト

役員報酬額 歴代最高の134億円「セブン&アイHD」デピント元取締役

(株)セブン&アイホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント元取締役(2025年3月9日辞任)の2026年2月期の役員報酬額が、134億1,700万円と、過去最高額となった。5月20日に公表された有価証券報告書で判明した。

4

  • TSRデータインサイト

エステサロン、倒産が今年もハイペース ~1-4月は過去最多、高額契約は慎重に~

全身美容や脱毛などエステ・脱毛サロンの倒産が止まらない。2026年は4月までに35件に達し、同期間で過去最多だった2025年の31件を上回った。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ