• TSRデータインサイト

2018年3月期決算の上場企業、9社が決算発表を延期

 2018年3月期決算の上場企業2,347社のうち、9社が決算短信の発表を延期した。
東京証券取引所は、決算短信の開示時期を「遅くとも決算期末後45日以内に内容のとりまとめを行い、その開示を行うことが適当」(決算短信等の開示に関する要請事項)としている。いわゆる、「45日ルール」だ。決算後50日を超える場合、その理由や開示時期の見込みを発表する必要がある。
有価証券報告書の法定提出期限(本決算は期末後3カ月以内)の経過後、1カ月以内に提出できない場合、原則上場廃止となる。

発表日未定」、「不適切行為」が各4社

 9社のうち、「決定次第、公表」などとして具体的な期日を公表していない企業は光村印刷(株)(TSR企業コード:291022413、東証1部)など4社あった(5月22日現在)。
延期の理由に「不適切行為」をあげたのは4社だった。(株)省電舎ホールディングス(TSR企業コード:293052298、東証2部)は不適切な会計処理が発覚し、2018年3月に第三者委員会を設置した。GMB(株)(TSR企業コード:570149460、東証1部)は、製造品の一部に販売先の事前承認を得ない中国製部品を使用した不適切行為が発覚。対象製品の連結売上高に占める割合は1.3%程度と公表している。このほか、五洋インテックス(株)(TSR企業コード:490039510、東証JASDAQ)は、架空取引による売上計上の過年度決算の訂正。石原産業(株)(TSR企業コード:570234816、東証1部)は、持分法適用関連会社の不適切な会計処理の精査に時間を要している。

3社が組織変更を理由に延期 

(株)NEW ART(TSR企業コード:294103538、東証JASDAQ)は、2017年10月に持株会社制へ移行したが、連結子会社の増加で「決算数値の確定に時間を要する見込み」で決算短信の発表を5月28日に延期した。クレアホールディングス(株)(TSR企業コード:570487650、東証2部)は、5月25日に短信発表を延期した。同社は「子会社との会計基準統一化の作業やその精査で時間がかかり、発表に向けて鋭意作業中」と話す。
このほか、オンキヨー(株)(TSR企業コード:576419524、東証JASDAQ)は、決算手続の煩雑化などを理由に決算発表を延期した。
今回、決算発表を延期した9社の市場別は、東証1部が4社、東証2部が2社、新興市場の東証JASDAQが3社だった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月25日号に「決算短信が未発表の3月期決算企業」一覧を掲載予定)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ