• TSRデータインサイト

楽器メーカーギブソン破綻、関係先への影響は

 5月1日、ジョン・レノンやレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが愛用したエレキギターで知られる楽器メーカーのGIBSON BRANDS, INC.(DUNS:15-200-8538、米テネシー州、以下、米ギブソン)が、米国裁判所に連邦破産法第11条(民事再生法に相当)を申請した。負債は最大5億ドル(約550億円)に上るが、債権者の69%以上が再建に同意しているという。

 米ギブソンの破綻を受け、国内外の関係先への影響が注目されている。米ギブソンの100%出資会社であるGibson Holdings, Inc.(米テネシー州)が54.6%を出資する音響機器メーカーのティアック(株)(TSR企業コード:290227933、東京都、東証1部)は2日、「ギブソングループとの資金面での取引、金銭的な保証等はなく、独立した運営を行っている」とリリースした。
 GW明けの7日、ティアックの担当者は東京商工リサーチ(TSR)の取材に、「米ギブソンの(ティアックに対する)出資分が変更になる話は今のところ聞いていない」と述べた。

 また、2012年1月に米ギブソンと資本・業務提携を締結していたオンキヨー(株)(TSR企業コード:576419524、大阪府、東証JASDAQ)は5月2日、「2017年11月より米ギブソンがオンキヨー株の売却を進め、2018年3月1日時点の保有比率は3,600株(発行済株式の0.00%)となっている」旨をリリースしている。
 この他、国内の関係法人では、(株)GIBSON GUITAR CORPORATION JAPAN(TSR企業コード:297044150、東京都、以下ギブソンジャパン)が確認される。5月7日現在のギブソンジャパンの商業登記簿では、同社の代表取締役はオンキヨー社長の大朏宗徳氏。この点について、オンキヨーの担当者は7日、TSRの取材に対し、「オンキヨーはギブソンジャパンに出資していない。大槻(オンキヨー社長)と吉田(和正オンキヨー取締役)は、2017年11月にギブソンジャパンの取締役を辞任した。登記事項の変更はギブソンジャパン次第だが、今後なされると思う」とコメント。米ギブソンの経営破綻の影響はないことを強調した。
 米ギブソンは、楽器製造からアンプやスピーカーなどの音響機器に扱い品を広げていたが、過剰な債務が経営を圧迫していた。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月8日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ