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コインチェック、補償時期や再開に初めて言及 和田社長は辞任も検討

 1月26日、約580億円の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題で、金融庁から業務改善命令と立ち入り検査を受けているコインチェック(株)(TSR企業コード:294733060、渋谷区)は3月8日、金融庁から2度目の業務改善命令を受けた。
これを受けてコインチェックは同日16時から都内で会見を開き、和田晃一良社長は2度目の業務停止処分に対して「真摯に対応していく」と語った。また、自身の進退を「辞任も含め検討する」と初めて述べた。
NEMの補償については、大塚取締役が「来週中を目途に日本円で対応する」と補償時期を示唆。休止しているその他の仮想通貨も来週中に一部サービスの再開予定を示した。
コインチェックは、金融庁への仮想通貨交換業者の登録に向けた取り組みを継続し、事業継続の意向を改めて明らかにした。

会見する社長と取締役

会見する和田社長と大塚取締役

 会場には報道陣約200名が出席し、物々しい雰囲気のなかで定刻通りに会見は始まった。
冒頭、和田社長が金融庁からの2度目の業務改善命令について、「指導に関して真摯に対応していく」と述べるとともに、「報告が遅れてしまったことを反省している」と語った。
同席した大塚取締役は、「1月26日午前0時2分から午前8時26分の間に不正アクセスがあり、預かっていたNEMのうち、5億2,630万10XEMが外部に送金された」と流出原因を説明した。
また、不正アクセスは「外部の攻撃者が社員の端末にマルウェアを仕込んで感染させた」との調査結果を明かした。そのうえで「ネットワーク監視対策を進め、システムセキュリティ責任者を置いた」とシステム管理体制の強化を説明した。
NEM流出から1カ月以上経過し、ようやくNEMの補償や他の仮想通貨再開について「来週中を目途に弊社ホームページで報告する」(大塚取締役)と言及。最後に「不正送金やサービスを止めたことを深く反省している」と陳謝した。その後、報道陣からの質疑応答を経て、17時20分に閉会した。

和田晃一良社長

和田晃一良社長

主な質疑応答

Q.NEMの補償については?
A.大塚取締役:前回公表した方針通り。日本円でアカウントに反映する。

Q.業容拡大に体制が追いつけなかった点は?
A.大塚取締役:昨年10月ごろから仮想通貨全体の価格が一気に急騰し、それによってユーザーが非常に増えた。しかし、人員採用がうまく進まず、問題が起きてしまった。

Q.2度目の業務改善命令に経営体制の抜本的な見直しがあるが、辞任する意思は?
A.和田社長:そこ(辞任すること)も含めて検討している。

Q.顧客資産は厳密に分別管理にしていた?
A.大塚取締役:別(顧客用)の口座として管理していた。

Q.今の時点でどういう財務状況か?
A.大塚取締役:日本円出金は現時点で600億円をお客様にお返しした。

Q.経営体制が整う前に、来週サービス再開するのか?
A.和田社長:そのようになる。

Q.NEMを補償する26万人にマネー・ローンダリングの疑いがある取引に関わっている人はいるのか?
A.大塚取締役:(契約時に)本人確認をしている。現時点で対象者はいない。

Q.資本提携など進捗状況は?
A.大塚取締役:現時点で具体的なものはない。

Q.コインチェックのビジネスモデルは?
A.大塚取締役:取引所(顧客同士が売り買いする)が取引量の80%、販売所(コインチェックが顧客と売り買いする)が20%。

Q.NEM補償は日本円でなくNEMで返すのが当然ではないか?
A.和田社長:複数の法律事務所と相談した結果、日本円で補償となった。

Q.利用者数はどれだけ増えたのか?
A.大塚取締役:取引高は7月2,868億円、8月6,512億円、9月7,619億円、10月1兆282億円、11月2兆5,268億円、12月が3兆8,537億円。ユーザー数は170万口座ある。

Q.流出したNEMもサービス再開するのか?
A.大塚取締役:再開に向けて準備している。

Q.NEM以外の仮想通貨の価格下落の補償は?
A.和田社長:利用規約上、負わないと考えている。

大塚雄介取締役

大塚雄介取締役

 NEMの補償と停止している他の仮想通貨の一部取引再開を順次来週中に行う方針を会見で明らかにした。
金融庁は2度目の業務改善命令で、取り扱う仮想通貨の各種リスクを適切に評価しておらず、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスクなど適切な管理体制が整備されていないと指摘。3月22日までに業務改善計画を書面で提出することを求めた。
金融庁が抜本的な経営体制の見直しを求めるなか、コインチェックは業務改善計画の提出前に事業の一部再開の意向を示すなど、再開に向け正面突破を図る姿勢もみせた。今後も金融庁との攻防に目が離せない状況が続く。
コインチェックなど7社が行政処分を受け、業界全体にモラルやコンプライアンス意識への不信感も漂う。また、激しい値動きも、仮想通貨が「通貨」より「投機」とみられる背景になっている。「仮想通貨」業界は混乱を収束するために、早急な健全性と公開性の確立が避けられないだろう。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年3月12日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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