• TSRデータインサイト

「かぼちゃの馬車」のスマートデイズ、「提携交渉は当初予定から遅れている」

 サブリース賃料の支払いが滞っている(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672)が、「かぼちゃの馬車」などシェアハウスの管理移行手続きを進めている。

 スマートデイズは2018年1月現在、「かぼちゃの馬車」や「ステップクラウド」などのシェアハウスのサブリース(マスターリース)契約を約700名のオーナーと結んでいる。
 スマートデイズによると、管理棟数は845棟で1万1,259部屋に上る。しかし、2017年10月以降、資金難で契約通りのサブリース賃料をオーナーに支払うことができなくなっていた。このため、スマートデイズは、2018年1月31日に「サブリース事業の再建計画について、提携候補先との協議を進めており再建計画の具体的な内容を決定次第、速やかに公表する」とリリース。公表の時期は「2 月中旬頃を予定」としていた。

 スマートデイズは、2月中旬からオーナーに対して説明会などを通じ(株)スプリングボード(TSR企業コード:026676028)への管理移行を進めている。スプリングボードは2018年1月12日設立で、設立時の本店登記地はスマートデイズ本社と同所の中央区銀座1-7-10だった。その後、2月13日に港区西麻布3-22-10に登記地を変更した。同所はスマートデイズの親会社である(株)オーシャナイズ(TSR企業コード:296564656)の本社と同所だ。
 管理物件の移行作業に着手はしたものの、提携候補先に関するアナウンスはなされていない。2月28日、スマートデイズの担当者は東京商工リサーチの取材に対し「2月中旬としていた当初予定から遅れているのは事実」と述べたうえで、相手先については、「水面下で交渉しているが公表できる段階ではない」とコメントした。
 また、スプリングボードへの管理移行状況は、「回答出来る段階にない」という。スプリングボードの株主についても尋ねたが、回答は得られなかった。スプリングボードのホームページは2月中旬に開設されているが、代表電話も「現在、公開に向けて準備している」(スマートデイズの担当者)状況だ。

 スマートデイズとサブリース契約を結んだオーナーの多くは、スルガ銀行(本店・沼津市)から融資を受けている。2月27日、スルガ銀行から融資を受けたオーナーら76名が同行に対して、3月からの返済停止を通知した。「スマートデイズ被害者の会」(松村研司会長)によると、返済停止の通知に対してスルガ銀行は、返済停止の期間中はブラックリストに登録せず、差押えなどの法的手段もとらない意向を示したという。
 3月2日、被害対策弁護団は都内で、スマートデイズを含めシェアハウスに投資したがサブリース賃料が未払いになっているオーナー向けの説明会を開く予定だ。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年3月2日号掲載予定「取材の周辺」を転載)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ