• TSRデータインサイト

破産を申し立てられたジャパンライフ 大阪でも被害者説明会を開催

 2月9日に債権者22名(申立債権額4億5,157万円)から東京地裁に破産を申し立てられ、同日保全管理命令を受けたジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、千代田区)。大阪弁護士会及び大阪弁護団による被害者説明会が2月14日、大阪弁護士会館会議室で行われ、被害者約25名が参加した。

大阪被害者説明会

被害者説明会の様子

 ジャパンライフによると平成29年7月末の預託者数(会員)は6,855名。負債総額は2,405億円に上る(平成29年3月末時点)。
 説明会の冒頭、大阪弁護士会の消費者保護委員会副委員長の髙尾慎一郎弁護士がジャパンライフの倒産に至るまでの経緯や現状などを説明。ジャパンライフの契約の軸であるレンタルオーナー商法の概要と問題点を改めて指摘した。
 髙尾弁護士は、商品である磁気ネックレスが一部しか存在しない点を重視。オーナー契約上の個数が2万2,241個だったのに対し、実際は2,749個しか存在していないことも消費者庁の調査で判明している。また、レンタルオーナー契約に比べ、レンタルユーザーが12.2%とまったく足りないことも指摘した。
 大阪弁護士会は平成30年1月15日からジャパンライフ被害者電話相談を実施。大阪府や近隣府県から26件の相談が寄せられたという。契約者の多くが高齢者で、全財産をつぎ込んだ人もいる。

 続いて、説明に立った大阪弁護団の向来俊彦弁護士は、「ジャパンライフは4~5年前から弁護士業務の中で名前を聞くようになった。昨年11月頃からは解約しても返済が行われない状態となっていた。12月14日に消費者庁へ刑事告発するよう働きかけたが動きはなかった。12月19日、全国一斉被害110番を行ったところ電話が鳴りやまない状態となった。12月20日に中部地区の弁護団がジャパンライフを愛知県警に告発し、1月20日には全国弁護団連絡会が結成された。弁護団としてはこのまま破産させるしかないとの認識だ」と報告した。
 また、被害者救済のひとつの方法として、公益社団法人日本訪問販売協会の「訪問販売消費者救済基金制度」が利用できる可能性があるとして、同基金について説明があった。
 ただ、救済対象となるには条件が多く、すべてを満たす必要がある点を指摘されると、被害者からは戸惑いの声も上がった。

 説明会にはともに90歳を越えた夫婦も出席していたが、中には契約者本人が亡くなっているケースもあり、今後の手続きは時間の経過とともに難航することも想定される。
 被害者は少しでも自分の財産が返ってきて欲しいという思いを抱えており、大阪弁護士会及び大阪弁護団の説明に熱心に耳を傾けていた。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年2月19日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。