• TSRデータインサイト

スマートデイズ親会社のオーシャナイズ、上場子会社からの出資が減損されていた

少数株主が減損処理

 シェアハウス「かぼちゃの馬車」などを管理・運営する(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672)の親会社に出資していた上場企業の子会社が、出資分を減損していたことがわかった。東京商工リサーチ(TSR)の取材に複数の関係者が明らかにした。
 出資を減損されていたのは、(株)オーシャナイズ(TSR企業コード:296564656)。オーシャナイズは、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」や男性向けシェアハウス「ステップクラウド」などを管理・運営するスマートデイズの親会社。これら企業を巡っては、1月12日付でスマートデイズの大地則幸氏が代表取締役を辞任し、オーシャナイズの菅澤聡社長が両社の代表取締役を兼務する体制に移行している。

オーシャナイズ本社

オーシャナイズの本社(東京都港区)

 「かぼちゃの馬車」などのシェアハウスは、スマートデイズが物件オーナーからサブリース形態で借り上げている。しかし、スマートデイズは2017年10月に物件オーナーへのサブリース賃料の減額を通知し、2018年1月には賃料支払いが困難になったと公表。物件オーナーや融資した金融機関への影響を心配する声が広がっている。
 上場子会社のA社はオーシャナイズに少数株主として出資していたが、複数の関係者によると数年前に出資分を減損処理した。A社の代表取締役は、オーシャナイズの社外取締役も務めていたが、オーシャナイズの関係者などによると2017年12月に社外取締役を退いたという。
 オーシャナイズの商業登記簿は1月31日現在、「登記事件処理中」で閲覧できない。1月22日に登記内容の変更を申請したが、書類に不備があり登記変更が完了していない。

スマートデイズ、再建策を「2月中旬に発表」

 スマートデイズは1月20日のオーナー向け説明会で、新会社の設立計画や事業提携を柱とした再建策の検討を明らかにしている。スマートデイズは1月30日、TSRの取材に応じ、「(提携)候補先と協議を進めており、目安として2月中旬頃に発表する予定」と回答。その上で、「(スマートデイズの)外部借入のほとんどがオーシャナイズから」と明らかにした。
 こうした事情から、スマートデイズ単独で再建策の策定は難しいとみられ、オーシャナイズがどの程度まで追加の資金支援が可能かも焦点となる。だが、オーシャナイズはTSRの取材に財務内容などの情報開示を拒んでいる。今後、適切な説明を行うか注目される。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年2月1日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ