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東芝、「債権取立不能」の開示が急増した理由

 経営再建中の(株)東芝(TSR企業コード:350323097、東京都、東証2部)の「債権取立不能」の開示が、最近相次いでいる。

東芝開示回数

9月以降、開示が大幅に増加

 東芝は12月1日、子会社の山陰東芝エレベータ(株)(TSR企業コード:782022332、鳥取県)が、取引先だった(株)リライフ(TSR企業コード:732026970、鳥取県)に対する債権18万円の取立不能の恐れが生じたと発表した。11月28日にも上場子会社の東芝テック(株)(TSR企業コード:291099211、東京都、東証1部)が11万円の債権が取立不能の恐れがあると発表している。債権の取立不能は、資金繰りチェックに重要な情報だ。
東京商工リサーチ(TSR)は2017年1月以降の東芝の適時開示状況を調べた。1月~8月は債権の取立不能に関する開示はなかった。だが、9月に2回。10月は11回と急増、11月も8回の開示があった。債権額が「6,480円」と非常に少額な焦付も開示している。

開示の増加を心配する取引先

 開示回数の増加に伴いTSRに東芝の取引先から問い合せが急増した。「開示姿勢が変化したのか」、「焦付が散発しているのか」など、通常であれば格別問題視するほどではない内容だ。だが、再建に向け動向が注目されている時期だけに、取引先はナーバスになっているようだ。
開示が頻発する理由について東芝に確認すると、担当者は「8月10日の2016年度の有価証券報告書の提出でバランスシートが確定した。このため、開示基準に照らし合わせて極めて業績への影響が軽微なものでも開示している」と説明する。
東京証券取引所は取立不能または取立遅延の恐れが生じた場合の開示基準を「債務不履行のおそれのある額が最近事業年度の末日における純資産額の3%以上」と定めている。東証の担当者は、個別企業の開示状況についてはコメントできないとした上で、「通期決算で債務超過になると、すべての焦付の開示が基本。これは1部、2部上場ともに共通だ」と話す。
東芝は8月10日に提出した有価証券報告書で通期での債務超過が明らかになった。このため、すべての焦付が開示対象になったようだ。

「焦付は増加していない」

 東芝の担当者はTSRの取材に対し、「焦付が8月以降増えたわけではない。ただ、債務超過が解消するまでは例え1,000円の焦付でも開示する」とのスタンスを示した。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年12月5日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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