• TSRデータインサイト

東芝、6,000億円の第三者割当増資を決議

 11月19日、(株)東芝(TSR企業コード:350323097、東証2部)は同日開催の取締役会で約6,000億円の第三者割当増資を決議したと発表した。増資で得たキャッシュで、ウエスチングハウスグループ(WH)の親会社保証を全額履行し、平成30年3月期の連結決算で少なくとも2,400億円の税効果を得たい方針だ。税効果による自己資本へのプラス効果と増資による押し上げで、半導体メモリ事業を売却しなくても同期の債務超過は回避出来る可能性がある。
 旧・村上ファンド出身者が設立したエフィッシモ・キャピタル・マネジメントなどに総額5,999億9,999万円を割り当てる。払込期限は12月8日で全額キャッシュでの払い込みを予定している。東芝の担当者は、割当先について「今後の(東芝グループの)経営方針や調達した資金の使途について理解頂いている先として選定した」と話す。
 東芝にキャッシュインするのは、払込金額から諸費用を除いた5,738億円。これを3月にチャプター11(連邦破産法第11章)を申請したWHの親会社保証の履行に使う。これまで東芝は、親会社保証の金額は6,600億円に上るとしていたが、「既に履行した分もあり5,738億円(5,178百万米ドル)を払えば全額履行されたことになる」(東芝の担当者)という。
 第三者割当増資により平成30年3月末の債務超過が解消出来る可能性があり、半導体メモリ事業を担う東芝メモリ(株)(TSR企業コード:023477687)の売却の必要性がなくなったとの見方がある。これについて東芝の担当者は、「(平成30年)3月末までの売却を目指す。メモリ事業は大規模な投資が継続的に必要なので、事業拡大には外部資源を入れないと成長力を保てない」とコメントした。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年11月21日号掲載予定「SPOT情報」を転載)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ