• TSRデータインサイト

神戸製鋼所のデータ偽装製品の安全性確認、海外企業への納品分が進まず

 11月10日、(株)神戸製鋼所(TSR企業コード660018152、東証1部、兵庫県)は一連のデータ偽装問題が発覚後、4度目となる「安全性の検証状況の進捗」を公表した。神戸製鋼所グループは、延べ525社にデータ偽装製品を納入している。初回となる10月26日に、525社のうち437社で「安全」(当面問題なし、安全確度が高いを含む)を確認したと公表した。88社は安全確認がとれておらず、このうち26社が海外企業分だった。
 11月10日公表分では、安全が確認された先は474社まで増加した。しかし、未確認の51社のうち海外企業は22社にのぼり、国内企業に比べ海外分の進捗が遅れていることを浮き彫りとした。この理由について神戸製鋼所の担当者は11月16日、「(国内と比べて海外は)相対的には遅れているように見えるが、特段の理由は聞いていない」と話している。神戸製鋼所は、今後も適宜「安全性の検証状況の進捗」を公表する方針。
 データ偽装に関連して、真岡製造所や長府製造所、神鋼メタルプロダクツ(株)(TSR企業コード:880118580、福岡県)でもJIS(日本工業規格)に関する法令違反の疑いがあると一部で報じられている。これについて神戸製鋼所の担当者は11月15日、「認証機関の審査を受けている段階。進捗状況の詳細は言えないが、違反の場合は法令違反にあたるので速やかに開示する」とコメントした。


神戸製鋼所の本社

神戸製鋼所の本社
 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年11月17日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ