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「グルメンピック」前社長初公判 「私は無実」と主張

 日本最大級の食フェスを謳った「グルメンピック2017」。500名を超す出店希望者から出店料を騙し取った容疑で逮捕された大東物産(株)(TSR企業コード:300183526、東京都中野区)の前社長大須健弘被告の初公判が9月27日、東京地裁で開かれた。
東京商工リサーチは昨年秋から大東物産を追跡取材し、幹部の逮捕直前には独占インタビューした。インタビューでは、どの幹部も疑惑を否定し、中井社長(当時)は「100万円で社長を引き受けた」と驚きの告白をしていた。


グルメンピック出店概要書

グルメンピック出店概要書

 大東物産(株)が企画した「グルメンピック2017」は、今年2月、東京と大阪での開催を謳っていた。全国の飲食店経営者などから出店料約1億3,000万円を集めたが、開催直前の1月に突然延期を発表。そして2月20日、東京地裁に破産を申請した。資産は現金1,712万円しか残っていなかった。
出店予定者達で結成した「被害者の会」は、大須前社長ら幹部5人を警視庁へ詐欺の疑いで告訴。6月5日、中井冬樹被告(社長)、大須健弘被告(前社長)、田邉智晃被告、矢野千城被告、髙木信治被告の5名が逮捕され、7月14日に起訴された。
「グルメンピック」事件で初の公判となった大須被告の第一審は、9月27日に東京地裁722号法廷で午後1時30分から開かれた。 大須被告以外の4名は公判前整理手続(初公判までに争点を絞る手続き)に付され、関係者への取材ではいずれも容疑を否認しているという。

大須被告「私は無実です」

 大須被告は黒のタートルネック、下はグレイのスエットパンツの身軽な格好で法廷に立った。少し緊張の面持ちで、裁判官から名前や住所などを尋ねられると小さな声で、時に口を尖らせながら答えた。
検察側は、「大須被告ら幹部5人が共謀し、グルメンピック2017を開催すると装い、飲食店に誤信させ出店料をだまし取ろうとした」と起訴状を朗読。容疑に鋭く切り込んだ。
裁判官から事実と異なることがあるか問われた大須被告は、罪状認否を書面で読み上げた。「ご迷惑をお掛けした出店者には本当に申し訳ない。社会復帰後には弁済したい気持ちを持っている」と謝罪したうえで、「イベントの準備を進めていたのは事実。イベントを開催しないで出店料をだまし取ろうとしたことも、幹部らと相談したこともない」と起訴内容の一部を否認し、最後に「私は無実です」とひと際大きな声で述べた。
大須被告の弁護人は、「あくまでイベントの開催を信じ準備を進めていた」とし、「金銭をだまし取ろうとはしていない」と無罪を主張した。

検察「遅くとも11月上旬」

 検察側は冒頭陳述で「大須被告は中学・髙校で同級生だった田邉被告から、銀行からお金を借りて倒産させれば儲けられるという詐欺の話を聞いたことがある」と明かした。
さらに、「大須被告は口座を管理することで収入を把握していた」ほか、「イベント経験のない大須被告が田邉被告に勧められ代表に就任した」とも述べた。また、開催の準備が進んでいなかったことや、出店料に対する歩合給の髙さ、事務所の契約解除など、具体的な事実を指摘し、遅くとも11月上旬にはイベントを開催しないと認識していたと結論付けた。
冒頭陳述の最後に、「認識後もイベントを開催するように装い、勧誘を続けていた。責任を追及されるのを避けるため、大須被告は中井被告に100万円を渡して代わりに代表に就任してもらった」ことも明らかにした。
第2回公判は11月7日に開かれる予定。

破産管財人により資金回収が進む

 刑事裁判とは別に、破産手続きを大東物産の破産管財人に選任された笠井直人弁護士が進めている。
ただ、会計帳簿が作成されておらず、資料、データ、メールなども破棄されていた。破産申請時は現金が1,712万円しかなく、資金回収は難航が予想されている。
「被害者の会」などによると、破産管財人は関係者と回収交渉を進めており、すでに会場費の一部を含め約1,700万円を回収したという。
今後、幹部5人の裁判が進むに従い、幹部間の意見が対立している3,500万円の使途不明金の流れも判明することが期待される。
だが、それでも負債総額約1億3,000万円にはほど遠い。どこまで被害金を回収できるか、被害者への弁済には暗い影を落としたままだ。

幹部は大須被告を「ズサン」と

 TSR情報部は逮捕直前の6月1日、社長の中井被告、田邉被告、髙木被告に独占インタビューした。 そのなかでインタビューに立ち会わなかった大須被告を、「経理担当として対応がズサン」、「話が二転三転している」、「勘違いもある」と語るなど、大須被告に大きな責任があるとの姿勢を崩さなかった。
大須被告の公判、逮捕された幹部へのインタビュー、いずれも誰もが互いに責任を押し付け合い、どこか他人事の印象だけが残った。


 全国各地で開催されるグルメイベントの企画者や出店者を不安に陥れた「グルメンピック2017」事件。B級グルメなどへのイメージ悪化も懸念されている。
リンク総合法律事務所(千代田区)内にある「グルメンピック被害対策弁護団」では、500名を超える出店予定者がいるため、現在も損害賠償請求などを受任している。今後は刑事事件の進行状況を睨みながら、民事訴訟に向けた準備も進める意向だ。
被害を受けた出店予定者とズサンな計画で破産した大東物産の幹部達との戦いは、今後も続くことになる。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年9月29日号掲載予定「Weekly Topics」を転載)


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