• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

東芝メモリの売却先、「日米韓連合」を決議

 経営再建中の(株)東芝(TSR企業コード:350323097、東京都)は、9月20日開催の取締役会でベインキャピタルを中心とする「日米韓連合」へ半導体メモリ事業を売却することを決議した。2018年3月末までに売却を完了し、2018年3月期末での債務超過の解消を目指す。
 ただ、中国をはじめ各国の独禁法の審査の行方など、不透明な部分も残している。


東芝メモリ株を「Pangea」へ譲渡

 東芝は、100%出資で連結子会社の東芝メモリ(株)(TSR企業コード:023477687、東京都)の全株式をベインキャピタルが設立した(株)Pangea(TSR企業コード:024937533、東京都)へ譲渡する。
 東芝はPangeaに3,505億円を出資し、持分法適用会社とする方針。Pangeaにはベインキャピタルと東芝のほか、国内外企業も出資または融資する。これらの総額は約2兆円で、これが東芝の譲渡の対価となる。Pangeaへの出資や東芝への対価の支払いが全てキャッシュで行われるかかどうかについて、東芝は明らかにしていない。
 関係筋によると、株式の譲渡と東芝のPangeaへの出資は同時に行われるという。

東芝の2018年3月期決算への影響

 東芝の2018年3月期第1四半期(連結)の株主資本は▲5,042億円、純資産は▲2,233億円。東芝メモリの売却による税引前当期純利益の押し上げ効果は1兆800億円で、法人税等を加味すると7,400億円程度になる。
 東芝が8月10日公表した2018年3月期の業績予想では、東芝メモリの売却を織り込まずに4,000億円程度の税引前当期純利益を見込んでいた。このため、東芝メモリの売却が期中になされた場合、税引前当期純利益は1兆5,000億円前後になる可能性がある。
 ただ、半導体メモリ事業が会計上の継続事業に該当するかについて検討中であることなどから、東芝は今回の決議後に業績予想の修正はしていない。

譲受会社「Pangea」の概要

 東芝メモリの株式を譲受するPangeaは千代田区丸の内1-1-1に本社を構えている。設立は平成29年6月16日で資本金は2万5,000円。代表取締役の杉本勇次氏は、ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・アジア・LLC(TSR企業コード:297932900)などの日本における代表者を務めている。

ウエスタンデジタルとの訴訟の行方

 東芝の半導体メモリ事業の売却を巡っては、ウエスタンデジタルが国際仲裁裁判所に株式等の売却差止を求め仲裁申立を行っている。
 判決の行方は不透明だが、東芝は差止請求が認められた場合でも「株式譲渡が履行されることを前提」としている。このほか各国の独禁法の審査も2018年3月期中に終わるか流動的だ。
 今回の東芝メモリの売却先決議で再建へのステップは一歩進んだが、課題は山積しており、まだ予断を許さない状況は続く。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年9月22日号掲載「Weekly Topics」を転載)

 TSR情報とは

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ