• TSRデータインサイト

2016年度「上場製造業1,270社の平均年間給与」調査

 2016年度の上場製造業1,270社の平均年間給与(以下、平均給与)は605万9,000円(中央値599万9,000円)で、前年度より3万9,000円(0.6%)増加した。上場企業2,718社の平均給与598万円(中央値585万8,000円)と比べ7万9,000円上回り、好調な企業業績を反映している。
 製造業の平均給与は2013年度から4年連続で増加し、増加率は0.6%増だった。ただ、2015年度の1.2%増を0.6ポイント下回り、賃金上昇カーブは2014年度をピークにやや鈍化している。
 平均給与のトップは、工作機械用NC装置で世界最大手のファナックが1,318万3,000円で、3年連続でトップを守った。2位は第一三共の1,133万5,000円、3位はアステラス製薬の1,073万円、4位はエーザイの1,038万9,000円と上位に医薬品が続き、5位は電気機器のレーザーテックの1,028万2,000円だった。
 上位10社には医薬品5社、電気機器4社が入り、この他では食料品の味の素が952万4,000円で10位だった。平均給与が1,000万円以上は7社で、前年度(6社)より1社増えた。
 製造業は2014年度以降、円安で輸出関連を中心に業績改善が進んだ。社員の採用増に動いた事で平均給与が下がった企業もあるが、全体では2010年度からの6年間で40万円アップした。


  • 本調査は全証券取引所に株式上場する企業のうち、製造業を対象に2016年度決算(2016年4月期-2017年3月期)の有価証券報告書から平均年間給与を抽出。2010年度から2016年度まで7期連続で比較可能な1,270社(ホールディングス、変則決算企業は除く)を集計、分析した。
  • 証券分類は、証券コード協議会の定めに準じた。

上場製造業1,270社 平均年間給与

平均給与の「増加」は764社

 上場製造業1,270社のうち、平均給与が前年度より増えたのは764社(構成比60.1%、前年度823社)。一方、減少は496社(同39.0%、同440社)、横ばい10社(同0.7%、同7社)だった。
 「増加」した企業数は全体の6割を占めたが、前年度より59社減少した。

業種別 石油・石炭製品733万9,000円で最高

 業種別の平均給与では、トップが石油・石炭製品の733万9,000円(中央値741万7,000円)で、2011年度以来、5年ぶりに平均給与が上昇した。次いで、医薬品の729万7,000円(同728万7,000円)、電気機器の634万3,000円(同622万9,000円)、精密機器の624万9,000円(同626万7,000円)、化学の624万8,000円(同633万4,000円)の順。
 最低は繊維製品の536万1,000円(同540万5,000円)で、トップとは197万8,000円の差がある。
 増加率では、繊維製品が前年度比2.9%増で最大だった。以下、ゴム製品の同1.6%増、鉄鋼の同1.47%増、ガラス・土石製品の同1.42%増、食料品の同1.3%増と続く。唯一、電気機器は前年度比0.7%減と、前年度を下回った。

上場製造業1,270社 平均年間給与 業種分類別

平均給与の増減率 増加率0.0%超~1.0%未満が最多203社

 上場製造業1,270社の平均給与の増加率は、「増加率0.0%超~1.0%未満」が203社(前年度158社)で最多。次いで、「1.0%以上~2.0%未満」の184社(同176社)、「2.0%以上~3.0%未満」の121社(同159社)と続く。一方、減少率では、「▲0.0%超~▲1.0%未満」が136社(同140社)、「▲1.0%以上~▲2.0%未満」が110社(同99社)、「▲2.0%以上~▲3.0%未満」が73社(同61社)と続く。
 増加率「2.0%以上~3.0%未満」以上の区分で、社数が前年度を下回った。一方、減少率の多くの区分で社数が前年度を上回り、平均給与の伸び率鈍化を裏付けている。

個別企業ランキングベスト50 ファナックが3年連続で平均給与トップ

 平均給与トップは、工作機械用NC装置では世界最大手のファナックが1,318万3,000円で3年連続トップを守った。積極的な採用で従業員数が前年度より204人増加(3,042→3,246人、平均年齢42.9→42.2歳)、前年度(1,571万1,000円)を252万8,000円下回った。2位は医薬品の第一三共が1,133万5,000円(前年度1,092万3,000円)。3位はアステラス製薬が1,073万円(同1,068万7,000円)、4位はエーザイが1,038万9,000円、5位はレーザーテックが1,028万2,000円と続き、医薬品の高さが際立った。
 上位50社のうち、平均給与が前年度を上回ったのは35社(構成比70.0%)だった。平均給与の上位50社は、電気機器、医薬品メーカーの各13社が登場した。業種別で平均給与が最も低かった繊維製品から上位50位にランクインはゼロで、帝人(775万円)の92位が最高だった。
 平均給与の最低は、繊維製品受託メーカーの北日本紡績の296万9,000円(前年度300万7,000円)。トップのファナックと平均給与は4.4倍の開きがあった。

 上場製造業1,270社は、600万円以上で社数が前年度を上回る一方、500万円未満、500万円以上600万円未満のレンジは前年度に比べ社数が減少した。こうしたことから賃金底上げが進んでいることがうかがわれる。

 上場製造業の持株会社では、玩具大手のバンダイナムコHDが1,354万2,000円(同1,174万円)でトップ。以下、創薬ベンチャーのそーせいグループが1,151万5,000円(同982万2,000円)、総合化学の三菱ケミカルHDが1,145万8,000円(同1,099万9,000円)の順。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」に「平均年間給与ランキング」を掲載予定)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「リファラル採用」 企業の半数に広がる 定着率はリファラルが新卒、転職エージェントを上回る

東京商工リサーチは、採用に関する企業向けアンケート調査を実施した。人手不足やAI・DXの普及で転職市場の活況が続き、近年はリファラルやアルムナイ採用も広がっている。特に、リファラル採用は、転職エージェントの紹介より従業員の定着率が高いと考える企業が多いことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

大手ホテル好調 客室単価と稼働率が同時上昇 客室単価はコロナ禍の2倍超、稼働率は83.3%

インバウンド需要と国内旅行の復活で、大手ホテルの客室単価と稼働率が、コロナ禍以降で最高を更新した。 ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年度の客室単価は、1万7,818円(前年度比8.6%増)で前年度より1,424円上昇した。稼働率は83.3%(前年度82.3%)で、高水準を維持した。

3

  • TSRデータインサイト

経営責任を取る事業再生、ジュピターコーヒーは黒字化へ ~ ネクスト・キャピタル・パートナーズ 単独インタビュー ~

2025年度の企業倒産は1万505件(前年度比3.5%増)で、2年続けて1万件を超えた。 こうしたなか、20年を超すファンド運営で事業再生を数多く手掛けてきたのがネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)だ。浅野晃司・取締役執行役員に特色や取り組みを聞いた。

4

  • TSRデータインサイト

企業の7.8%で退職金「増額・導入」  「減額・廃止」企業は月給などへ、資産形成は自己責任

これまで「年功序列」や「終身雇用」が前提の日本の会社では、長く勤め上げてまとまった退職金を受け取ることが一般的だった。だが、東京商工リサーチ(TSR)のアンケート調査で、2023年以降の退職金制度は「増額・導入」が7.8%に対し、「減額・廃止」は1.9%だった。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ