• TSRデータインサイト

2015年度 倒産発生率(普通法人)調査

 2015年度の普通法人の倒産発生率は0.28%(前年度比0.03ポイント低下)だった。7年連続で前年度を下回り、リーマン・ショックのあった2008年度以降では最も低率になった。
 2015年度の全国の企業倒産(個人企業を含む)は8,381件で、1990年度(7,157件)以来、26年ぶりの低水準にとどまったが、普通法人の倒産発生率もこれを裏付ける形になった。


  • 本調査は、2015年度の都道府県別の倒産発生率(普通法人)をまとめた。倒産発生率は、普通法人倒産件数÷普通法人の申告法人数×100で算出した。分子は東京商工リサーチ調べの個人企業等を除いた普通法人倒産件数とし、分母は2017年公表の国税庁統計法人税表(平成27年度分)に基づく法人数で、小数点第3位を四捨五入した。
  • 普通法人は、会社等(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人を含む。

倒産発生率推移

倒産発生率、福島が4年連続で最低

 2015年度の倒産発生率は全国で0.28%(前年度0.31%)で、都道府県別では34道県が全国水準を下回った。倒産発生率が最も低かったのは4年連続で福島の0.09%(前年度0.07%)だった。2015年度の福島の倒産件数(個人企業を含む)は、36件(前年度30件)で7年ぶりに前年度を上回り倒産減少の底打ちを示した。しかし、これは過去20年で3番目に少ない件数で、リーマン・ショックの起きた2008年度(205件)と比べ約6分の1にとどまっている。この背景には、震災復興需要や原発事故による賠償金などが影響しているとみられる。

倒産発生率の最高は静岡の0.38%

 一方、倒産発生率が最も高かったのは静岡の0.38%(前年度0.42%)だった。2015年度の静岡の倒産件数(個人企業を含む)は、267件(前年度299件)で前年度を下回ったが、比率算出の分母の普通申告法人数が前年度より0.12%減(7万315社→7万232社)と減少し、相対的に比率が高止まりになった。静岡の2015年度倒産の産業別では、飲食料品小売業などの小売業(40→51件)や宿泊業などのサービス業他(51→56件)などで増加をみせた。
 次いで、大阪0.36%(前年度0.41%)、東京0.32%(同0.34%)、和歌山0.31%(同0.32%)、島根0.31%(同0.43%)、兵庫0.30%、福岡0.30%、京都0.29%の順だった。

地区別発生率、9地区すべてで前年度より低下

 2015年度の地区別の倒産発生率では、全国9地区すべてで前年度より低下した。最も比率が高かったのは近畿の0.33%(前年度0.37%)だった。都道府県別ランキングでも、大阪、和歌山、兵庫、京都の4府県が高率な10番以内にランクインするなどで比率を押し上げた。
 次いで、関東0.29%(前年度0.32%)、中部0.28%(同0.30%)、北陸0.25%(同0.31%)、九州0.24%(同0.26%)、北海道0.24%(同0.26%)、四国0.21%(同0.27%)、中国0.20%(同0.26%)、東北0.20%(同0.22%)の順。

産業別発生率、卸売業が最も高率

 産業別の倒産発生率は、卸売業が0.51%(前年度0.53%)で、リーマン・ショックがあった2008年度以降では初めて最高を占めた。次いで、ソフトウェア業、広告制作業などを景気動向に敏感な業種を含む情報通信業が0.47%(同0.54%)、製造業0.35%(同0.36%)、建設業0.34%(同0.38%)、運輸業0.34%(同0.50%)、小売業0.28%(同0.29%)、サービス業他0.20%(同0.23%)、農・林・漁・鉱業0.15%(同0.26%)、金融・保険業0.09%(同0.08%)、不動産業0.09%(同0.10%)の順。


 2015年度の普通法人の倒産発生率は、リーマン・ショックがあった2008年度を境に7年連続で低下した。ただ、都道府県別では倒産発生率が低い地域には、福島、岩手、宮城の東北3県が含まれ、震災復興需要や各種支援の影響がうかがえる。倒産発生率の低下が必ずしも企業の自律的な業績回復によるものでないことを留意する必要がある。
 一方、倒産発生率が高いところは、製造業が多い静岡を筆頭に、東京、大阪、兵庫、福岡など大都市圏が顔を揃えており、今後の動向が注目される。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「リファラル採用」 企業の半数に広がる 定着率はリファラルが新卒、転職エージェントを上回る

東京商工リサーチは、採用に関する企業向けアンケート調査を実施した。人手不足やAI・DXの普及で転職市場の活況が続き、近年はリファラルやアルムナイ採用も広がっている。特に、リファラル採用は、転職エージェントの紹介より従業員の定着率が高いと考える企業が多いことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

大手ホテル好調 客室単価と稼働率が同時上昇 客室単価はコロナ禍の2倍超、稼働率は83.3%

インバウンド需要と国内旅行の復活で、大手ホテルの客室単価と稼働率が、コロナ禍以降で最高を更新した。 ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年度の客室単価は、1万7,818円(前年度比8.6%増)で前年度より1,424円上昇した。稼働率は83.3%(前年度82.3%)で、高水準を維持した。

3

  • TSRデータインサイト

経営責任を取る事業再生、ジュピターコーヒーは黒字化へ ~ ネクスト・キャピタル・パートナーズ 単独インタビュー ~

2025年度の企業倒産は1万505件(前年度比3.5%増)で、2年続けて1万件を超えた。 こうしたなか、20年を超すファンド運営で事業再生を数多く手掛けてきたのがネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)だ。浅野晃司・取締役執行役員に特色や取り組みを聞いた。

4

  • TSRデータインサイト

企業の7.8%で退職金「増額・導入」  「減額・廃止」企業は月給などへ、資産形成は自己責任

これまで「年功序列」や「終身雇用」が前提の日本の会社では、長く勤め上げてまとまった退職金を受け取ることが一般的だった。だが、東京商工リサーチ(TSR)のアンケート調査で、2023年以降の退職金制度は「増額・導入」が7.8%に対し、「減額・廃止」は1.9%だった。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ