• TSRデータインサイト

被害額100億円以上? TSR独自取材で循環取引の実態に迫る

 「売上急増の理由は循環取引だ」。
総額1,000億円とも言われる循環取引が表面化した。東京商工リサーチの取材で、循環取引に巻き込まれた商社の関係者は「ATT(株)(TSR企業コード:032028687、墨田区)のA社長から中国との大きな取引になるので間に入ってほしいと頼まれた」と、循環取引に巻き込まれた経緯を明かした。
この商社は取引を始めると瞬く間に、取引額が膨らむ異常さに気付き、取引から手を引いた。だが、循環取引に最後まで関わった取引先の「被害額」は大きく膨らんだ。

ATTが行った循環取引の概要(資金の流れ)

ATTが行った循環取引の概要(資金の流れ)

 なぜ、商社は循環取引に巻き込まれたのか。取引に参加した商社の関係者は、「ATTには白いATTと黒いATTがあった」と話す。
「黒いATTを循環取引とすれば、通常のビジネスを行っていた白いATTはA社長の営業力、コーディネイト力で疑う余地はなかった」との声が多い。ある商社は「白いATT」の取引の延長線で商流参加を求められ、引き込まれていった。
2016年12月末、ATTにノンバンクなどを譲受人とする債権譲渡登記が合計16本、一斉に設定された。そして、2カ月後の2017年2月末、債権譲渡登記が一斉に抹消された。この時期にATTの資金繰りがひっ迫していたことが疑われている。すでに、「黒いATT」がけん引した循環取引は崩壊していたのだ。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年8月4日号で循環取引の内容を詳報予定)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ