• TSRデータインサイト

国内銀行92行『平均年間給与』調査(2017年3月期)~"トップ3”は3年連続で三井住友銀行、東京スター銀行、スルガ銀行~

 国内銀行92行の2017年3月期の平均年間給与(基本給与+賞与・基準外賃金)は615万2,000円(中央値620万5,000円)だった。前年の620万3,000円から5万1,000円減少(0.8%減)し、2012年3月期以来、5年ぶりに前年を下回った。
 平均年間給与のトップは、4年連続で三井住友銀行(814万8,000円)が守ったが、前年より15万3,000円減少(1.8%減)した。2位は東京スター銀行(812万2,000円)、3位はスルガ銀行(810万6,000円)が僅差で続き、トップ3の順位は3年連続で同じだった。
 上位30行のうち、前年より平均年間給与が伸びたのは、スルガ銀行、あおぞら銀行、第四銀行など8行にとどまり、上位銀行の給与伸び悩みが目立った。
 政府は「働き方改革実現会議」などを通じ、賃上げやベースアップ実施を求めている。だが、メガバンクはマイナス金利などで収益悪化を懸念し、2016年春闘でのベースアップを3年ぶりに見送った。銀行の給与は、マイナス金利政策、低金利競争など、本業の厳しい収益環境の中で、独自の営業戦略や人員採用、規模格差などで明暗を分けた格好となった。


  • 本調査は国内銀行の有価証券報告書などで、従業員数、平均年間給与、平均年齢が判明した92行を対象に集計、分析した。
  • 大手行は埼玉りそな銀行を含む7行、地方銀行は全国地銀協加盟行(54行:北都銀行、荘内銀行、足利銀行、横浜銀行、近畿大阪銀行、山口銀行、北九州銀行、親和銀行、肥後銀行、鹿児島銀行を除く)、第二地銀は第二地銀協加盟行(31行:北洋銀行、きらやか銀行、仙台銀行、東日本銀行、大正銀行、もみじ銀行、徳島銀行、香川銀行、長崎銀行、熊本銀行を除く)。

銀行別平均年間給与

平均年間給与 7割の銀行が前年を下回る

 国内92銀行の2017年3月期の平均年間給与は615万2,000円(中央値620万5,000円)で、前年より5万1,000円減少(0.8%減)した。前年を上回ったのは、大手行7行では、あおぞら銀行のみ。地方銀行は54行のうち19行、第二地銀は31行のうち11行の合計31行(構成比33.6%)にとどまり、約7割が減少した。92行の平均年間給与は2007年3月期(653万6,000円)をピークに、その後は減少をたどり、2013年3月期にようやく増加に転じた。しかし、厳しい経営環境や人材採用などで2017年3月期は5年ぶりに前年を下回った。
 業態別の平均年間給与は、大手行が742万8,000円(前年比1.5%減、中央値772万5,000円)、地方銀行が632万2,000円(同0.7%減、同636万1,000円)、第二地銀は556万8,000円(同0.8%減、同552万2,000円)。
 大手行との差は、地方銀行が110万6,000円(前年117万6,000円)、第二地銀は186万円(同192万9,000円)、それぞれ低かった。
 ただ、前年に比べて大手行との給与格差は地方銀行が7万円、第二地銀も6万9,000円縮小し、大手行との差はわずかだが縮まった。

 東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年7月24号に詳細および銀行別平均年間給与を掲載予定

業態別平均年間給与

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「マレリグループ」国内取引先調査 ~国内の取引先2,942社、影響懸念~

経営不振が続いたマレリグループの持株会社マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064、さいたま市北区)が6月11日(日本時間)、米国でチャプター11を申請した。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースからマレリグループの取引先数(重複除く)は国内2,942社あることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「病院・クリニック」の倒産 18件 前年上半期に並ぶ、ベッド数20床以上の病院が苦戦

コロナ禍を経て、病院やクリニックが苦境に立たされている。2025年1-5月に発生した病院・クリニックの倒産は18件で、すでに2024年上半期(1-6月)に並んだ。

3

  • TSRデータインサイト

「日産ショック」とマレリ、部品サプライチェーンの再編含み

マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064)と主要子会社は6月11日(日本時間)、チャプター11(連邦破産法第11条)を申請した。東京商工リサーチのデータベースによると、マレリグループの国内取引先は全国2,942社に及ぶ。

4

  • TSRデータインサイト

事前調整に明け暮れたマレリHDが再度破たん ~支援プレイヤーの場外乱闘の果て~

マレリHDを巡っては、準則型私的整理の一種である事業再生ADRでの再建を目指したが、海外金融機関の反対でとん挫し、前年の産業競争力強化法の改正で規定された民事再生の一部手続きを省略する簡易再生へ移行した。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の業績見通しに大ブレーキ 「増収増益」見込みが16.6%に急減

トランプ関税、物価高、「価格転嫁」負担で、国内企業の業績見通しが大幅に悪化したことがわかった。2025年度に「増収増益」を見込む企業は16.6%にとどまり、前回調査(2024年6月)の23.3%から6.7ポイント下落した。