• TSRデータインサイト

【タカタ破綻】 最大の債権者がアメリカ合衆国だった理由

 6月26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したタカタ(株)(TSR企業コード:295877413、東京都)。同社の債権者のトップにいきなりアメリカ合衆国の名前が上がったことが話題になっている。

 タカタの「再生手続開始申立書」(以下、申立書)によると、債権者のトップはアメリカ合衆国。債権額は415億6932万円となっている。次いで、債権額が大きいのはトヨタ自動車(株)(TSR企業コード:400086778、愛知県)の266億2723万円だ。申立書の債権額には、各自動車メーカーが負担しているリコール費用は基本的に含まれていない。
 関係筋は、「アメリカ合衆国が最大の債権者になるとは思っていなかった。これが一般債権者への弁済に影響を与えないか心配だ」と懸念を示している。

タカタ製エアバッグのユーザーに届いたリコール通知

タカタ製エアバッグのユーザーに届いたリコール通知

アメリカ司法省との合意

 タカタは2017年1月13日(米国現地時間)、以下の3点についてアメリカ司法省と合意している。
(1)自動車メーカーに対する試験データの報告不備について罰金2500万ドルを支払う
(2)インフレーターの被害者への補償基金へ1億2500万ドルを拠出する
(3)自動車メーカーへの補償基金へ8億5000万ドルを拠出する

 タカタの担当者によると、こうした罰金等の支払い先はアメリカ司法省だ。申立書では、罰金2500万ドルと被害者への補償基金1億2500万ドルは支払い済みだが、8億5000万ドルは履行期限が2018年2月27日になっており、民事再生法の申請時点では全額が履行されず残っている。

支払い状況と415億円の理由

 タカタでは、3つの賠償金と補償基金への拠出金の総額は、タカタとアメリカ現地法人であるTK HOLDINGS INC.(ミシガン州、以下TKH)でほぼ折半という。このため、タカタが履行すべき金額415億円がアメリカの債権として申立書に記載されたことになる。
 すでに履行されている罰金2500万ドルはタカタが、また、被害者への補償基金1億2500万ドルはTKHが支払っている。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月27日時点) 上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

2025年3月期決算の上場企業の多くで株主総会が開催された。6月27日までに2025年3月期の有価証券報告書を2,130社が提出した。このうち、役員報酬1億円以上の開示は343社、開示人数は859人で、前年の社数(336社)および人数(818人)を超え、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

船井電機の債権者集会、異例の会社側「出席者ゼロ」、原田義昭氏は入場拒否

破産手続き中の船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の第1回債権者集会が7月2日、東京地裁で開かれた。商業登記上の代表取締役である原田義昭氏は地裁に姿を見せたものの出席が認めらなかった。会社側から債務者席への着座がない異例の事態で14時から始まった。

5

  • TSRデータインサイト

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

TOPへ