• TSRデータインサイト

「中小企業白書・小規模企業白書」セミナー開催

 東京商工リサーチ(TSR)は6月22日、大手町カンファレンスセンター(東京都千代田区)で、国内経済動向セミナー「中小企業の現状と今後の展望~中小企業白書・小規模企業白書から読み解く~」を開催した。

 セミナー講師は、山田健太・経済産業調査員(中小企業庁事業環境部企画課調査室)。金融機関や自治体関係者、商社、メーカーなどの審査、営業担当など約100名が出席した。

中小企業庁・山田経済産業調査員(右上)と熱心にメモを取る参加者

中小企業庁・山田経済産業調査員(右上)と熱心にメモを取る参加者

 山田調査員は、企業倒産は減少傾向だが休廃業・解散は増加基調にあり、「経営者の高齢化が背景にある」との認識を示した。 企業のライフサイクルに着目し、事業承継が急務の企業は多いが、事業継承は準備から継承まで3年以上を要するケースが全体の37.1%を占める現状などを、データに基づき解説した。

 約70分間の説明の後、山田調査員とTSR常務取締役・友田信男情報本部長のディスカッションが行われた。
 友田常務は「創業期、拡大期にある企業には担保によらない融資の拡大が重要」と述べ、事業性評価への取り組みを求めた。これに対し山田調査員は、「中小企業・小規模企業白書は閣議決定されるもので、金融庁とも議論を重ねている。事業性評価に基づく融資は金融機関だけで推進することは難しい。情報開示など中小企業も積極的に応じることが必要」と述べた。

(セミナー資料より抜粋)

 「中小企業白書」は、中小企業基本法に基づいて毎年作成され、今年で54回を数える。「小規模企業白書」は、小規模企業振興基本法が根拠法で今年が3回目。
 2017年版は中小企業庁のホームページで公開されており、書籍版も全国の書店で6月末までに発売される予定。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ