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「チャイナリスク」関連倒産調査(5月)

 5月の「チャイナリスク」関連倒産は10件、負債総額は190億2,600万円で、件数、負債ともに前年同月を上回った。5月10日に、金属スクラップの回収、販売を手掛ける木村メタル産業(株)(TSR企業コード:401102904、法人番号:9180001075734、岐阜県)が、中国の需要減退を背景とした銅相場の下落による売上急減で、38億800万円の負債を抱えて名古屋地裁へ破産を申請するなど大型倒産が発生し、負債総額を押し上げた。
 2016年1月-5月累計は53件で前年同期31件から1.7倍(70.9%増)となった。形態別では、破産と特別清算の消滅型倒産が45件に達し、前年同期22件から2倍以上の水準に及んでいる。会社更生法と民事再生法の再建型倒産は1件(前年同時期3件)、私的倒産は7件(同6件)にとどまった。「コスト高」(33件)や「価格競争」(11件)を要因とするチャイナリスクは、企業の事業構造の根幹を直撃し、体力の乏しい中小企業は中長期的な再建策を描くことが難しい事態に追いこまれている。
 倒産に集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、5月は3件だった(前年同月の発生はなし)。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他
    ※ 2016年4月の発表分から、より実態に即した集計とするため、集計基準に「7.価格競争」、「8.その他」を追加した。2016年3月以前の発表分についても遡って計上している。
    ※ 「チャイナリスク]関連の経営破綻は、下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「破産申請の準備中」などは、倒産とは区別し「実質破綻」としている。
  • 倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)
    A. 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
    B. 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
    C. 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)
    ※「チャイナリスク」関連倒産の集計開始は2014年1月。

チャイナリスク関連倒産月次推移

 5月のチャイナリスク関連倒産は10件、負債総額は190億2,600万円だった。2014年1月の集計開始以降では、件数、負債ともに5月度としては最多を記録した。
 5月のG7(主要国首脳会議)伊勢志摩サミットの首脳宣言では、中国の鉄鋼の過剰生産を念頭に「広範な貿易政策上の措置を検討する」と明記された。日本政府は、反ダンピング関税の発動を検討しているとみられる。6月2日までフランスで開かれた経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会では、鉄鋼や造船分野での供給過剰の是正を求める宣言を矢継ぎ早にまとめた。
 主要国がチャイナリスクの是正に向けたアクションを起こす背景には、自国へのダメージが深刻で、政局にも影響が大きいためだ。各国とも関税検討や中国の供給過剰解消に向けた外交ルートでの対話など、保護主義的なものが目立っている。2015年夏の上海総合指数の大幅下落のように急速に顕在化したチャイナリスクへの対応は、短期的には保護主義的にならざるを得ない側面もあるが、本質的な生産性の向上など、自国企業の適応力が高まる施策の実行が急がれる。

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