• TSRデータインサイト

「スズキグループ国内取引状況」調査

 5月18日、スズキ(株)(TSR企業コード:450214354、法人番号:8080401002431、浜松市、東証1部上場、以下スズキ)が、軽自動車の燃費データの測定に関し、国が定める規定と異なる方法で燃費を測定していたことを公表した。
4月20日には、三菱自動車工業(株)(TSR企業コード:290569729、法人番号:7010401029044、本社・東京都港区、東証1部上場、以下三菱自)が、軽自動車の型式認証取得で国土交通省に提出した燃費試験データに不正な操作があったことを公表した。燃費測定制度への信頼は大きく低下しており、自動車販売や生産面で大きな影響が出かねない。
東京商工リサーチは、スズキグループの取引状況を調査した。同グループと取引がある1次仕入先は1,154社、総従業員数は54万7,678人だった。
また、スズキグループと三菱自グループの重複取引先は、1次仕入先で167社、2次仕入先で1,711社あることがわかった。

  • スズキと同社グループの仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分けて、インターネット企業情報サービス「tsr-van2」の企業相関図を活用し、業種や地区、規模などを集計、分析した。
  • 1次取引先は直接取引のある取引先。2次取引先は、1次取引先と直接取引がある間接取引を示す。
  • スズキグループ:スズキと有価証券報告書に社名の記載がある国内連結子会社11社。
  • 三菱自グループ:三菱自と有価証券報告書に社名の記載がある国内連結子会社9社。

産業別 1次仕入先は製造業約6割、1次販売先は小売業が約7割を占める

 スズキグループの1次仕入先は1,154社だった。産業別では、部品メーカーなど製造業が647社(構成比56.0%)で最多。次いで、卸売業が212社(同18.3%)、サービス業他が99社(同8.5%)、運輸業が76社(同6.5%)の順だった。
1次販売先は2,666社で、ディーラーや車両販売店などの小売業が1,859社(同69.7%)と最も多く、次いで、車両リースや整備業などサービス業他が470社(同17.6%)だった。

産業別 スズキグループ国内取引状況

業種別 1次仕入先は自動車部分品・附属品製造業が最多

 スズキグループの1次仕入先(1,154社)の業種別では、自動車部分品・附属品製造業が180社で最多。以下、一般貨物自動車運送業(39社)、金属用金型・部分品・付属品製造業(34社)、自動車部分品・付属部品卸売業(33社)と続く。
1次販売先は、二輪自動車小売業(993社)が最多。以下、自動車(新車)小売業584社、自動車一般整備業(336社)、中古自動車小売業(98社)と続く。
四輪車と二輪車では燃費の測定方法は異なるが、今回の公表によるブランドイメージの低下が二輪にまで波及した場合、二輪自動車小売店にも影響がおよぶ可能性がある。

資本金別 1次仕入先は5千万円未満が約7割

 スズキと同グループ各社の1次仕入先(1,154社)を資本金別でみると、「1千万円以上5千万円未満」が547社(構成比47.4%)と最も多かった。
1次販売先(2,666社)は、個人経営の二輪販売店が多いため「その他」の907社(同34.0%)が最も多かった。次いで、「1千万円以上5千万円未満」が744社(同27.9%)。

従業員数別 1次仕入先は100人未満が約6割

 スズキと同グループ各社の1次仕入先(1,154社)の総従業員数は54万7,678人、2次仕入先(4,218社)の総従業員数は276万122人だった。
1次仕入先の従業員数別では、「10人以上100人未満」が512社(構成比44.3%)で最多。100人未満の企業が732社(同63.4%)を占めており、1次仕入先は中小企業が多いことがわかった。

地区別 大都市圏と製造拠点の地域に集中

 スズキグループの1次仕入先(1,154社)を地区別でみると、最多は中部の732社(構成比63.4%)。次いで関東の248社(同21.4%)で、この2地区で8割(同84.9%)を占めた。
1次仕入先(都道府県別)では、生産拠点のある静岡県が506社で最多。社数が2番目に多い愛知県の199社と2倍以上の差があり、スズキグループは静岡県経済に大きな影響力を持っている。

地区別 スズキグループ国内取引状況

スズキグループと三菱自グループの重複取引先 1次仕入先は167社

 スズキグループ、三菱自グループの重複取引先は、1次仕入先では167社だった。産業別では、製造業が123社(構成比率73.6%)が最も多く、次いで卸売業の29社(17.3%)。
2次仕入先では、1,711社が重複している。産業別では、製造業の995社(同58.1%)が最多で、卸売業の547社(31.9%)と続く。

産業別 重複企業状況

 三菱自の燃費データの不正発覚から約一カ月、スズキも国が定める規定と異なる方法で燃費を測定していたと公表した。
今回の調査で、スズキグループの1次仕入先は静岡県内に集中していることがわかった。また、1次仕入先では167社、2次仕入先では1,711社が三菱自グループとも取引をしている。
燃費性能を偽る不正行為の有無にかかわらず、国土交通省が定めた測定方法からの逸脱することは、燃費データに対する消費者の信頼を失いかねない。信頼失墜による販売や生産への影響は、下請け企業や販売店へ波及し、ひいては地域経済にも影響する。このため、メーカーの法令順守は当然であるが、適切な手順ではない測定方法が根絶できるような燃費測定制度への転換も必要だろう。

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

2

  • TSRデータインサイト

トーシンホールディングスの「信用調査報告書」

5月8日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した(株)トーシンホールディングス(TSRコード:400797887、名古屋市、東証スタンダード)を取り上げる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

4

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

TOPへ