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2015年「上場企業の不動産取得」調査

 2015年に国内不動産の取得や工場・社屋の新設などを公表した上場企業は56社で、3年連続で前年と並んだ。アベノミクス効果による景気の先行き期待から、上場企業の不動産取得の動きは活発化したが、一方で中国経済の減速など景気の先行き懸念を背景とする、リスク警戒感の高まりもあって、前年水準を超えない「足踏み」状況が続いている。


  • 本調査は、上場企業(不動産投資法人を除く)を対象に、2015年に国内不動産(固定資産)の取得(建物の新設等を含む)を決議、公表した企業を調べた。資料は『会社情報に関する適時開示資料』に基づく。

2015年は56社、3年連続同数

 会社情報の適時開示ベースで2015年に国内不動産(固定資産)の取得、工場や社屋などの建設を決議、公表した上場企業数は前年同数の56社だった。
 ちなみに過去調査での年間推移は、2008年が56社、09年28社、10年41社、11年36社、12年22社と減少傾向をたどっていたが、2013年は56社と一気に増加に転じた。しかし、2014年、15年と同数で推移し、「足踏み」状況になっている。

上場企業 不動産取得状況

取得した土地総面積、公表分で77万1,291平方メートル

 2015年の不動産取得では、取得した土地の面積を公表した33社で、合計77万1,291平方メートルにのぼった。非公表の会社もあり単純比較はできないが、参考に前年が33社で48万535平方メートルだったのと比べて土地面積が前年を上回った。

取得土地面積トップ、新工場用地取得のジャパンディスプレイ

 公表取得土地面積のトップは、第6世代液晶ディスプレイ工場の新設するため、石川県白山市の建設予定地を取得したジャパンディスプレイの14万3,000平方メートル。
 次いで、業容拡大に伴う出荷能力および在庫保有能力の増強を図るため、茨城県の物流センター建設用地の取得を発表したMonotaROの9万400平方メートル。事業拡大に対応した生産・開発能力の増強を図るため長野県東御市に新工場用地を取得したミマキエンジニアリングの8万3,648平方メートルと続く。

取得(投資)総額、56社合計で1,889億円

 取得(投資)額の総額は、公表した56社合計で1,889億9,600万円にのぼった。なお参考に前年が公表53社で2,890億5,000万円だった。
 投資額のトップは、ロイヤルホテルの270億円。建替えを視野にリーガロイヤルホテル(大阪)の底地の信託受益権を取得した。
 次いで、TDKの250億円。秋田県内にスマートフォンや自動車向けの電子部品の新工場を2棟建設する。
 関西アーバン銀行は、賃借していた本店ビルを経費削減効果と企業ブランドの向上を図るため244億円を投じて取得した。
 沢井製薬は、高品質なジェネリック医薬品の安定供給の一環として、包装能力を増強するため兵庫県三田市に約120億円(三田工場投資分を含む)を投じて新たな包装工場を建設する。

取得理由、「事業拡大」型が最多

 取得理由では、新工場や新社屋の用地取得や建設、新規事業進出などの「事業拡大」型が39社で最も多かった。次いで、賃貸物件を自社所有にするなどの「経営安定」型が8社。賃貸用ビル、土地建物などを取得する「事業用収益物件の取得」型が5件、売電事業などの「新規事業」型が4件だった。

業種別、電気機器や卸小売などが最多の6社

 業種別社数では、電気機器・小売業・卸売業・サービス業・機械が各6社で最も多かった。次いで、不動産業が5社、その他製品が4社と続く。
 業種別の取得(投資)金額では、最多がロイヤルホテルの取得金額が影響したサービス業の302億5,800万円。次いで、電気機器の287億3,800万円、銀行の244億円、卸売業の197億4,800万円、医薬品の180億円、機械の132億4,200万円、小売業の112億5,900万円と続く。


 2015年に不動産取得した上場企業数は、3年連続の同数で推移した。アベノミクス効果による景気の先行き期待から、前向きな設備投資の一環として上場企業の不動産取得の動きが一時より活発化した。
 しかし、ここにきて適時開示ベースでみるかぎり、社数の増加に「足踏み」が続き、勢いに陰りもうかがえる。中国や途上国経済の減速などで景気動向に不透明感が増すなかで、今後も腰折れなく、上場企業の旺盛な設備投資を持続できるかは予断を許さない。

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