「人手不足」関連倒産(3月、2015年度)
全体の企業倒産が低水準の推移が続くなかで、「人手不足」関連倒産も前年並みで推移しているが、中小企業を中心に人手不足は解消していない。
東京商工リサーチでは、これまでも「人手不足」関連倒産を集計してきたが、主に代表者死亡や入院などによる「後継者難」型、経営幹部や社員の退職に起因した「従業員退職」型が中心だった。だが、最近は「求人難」型もみられ、人手不足や人件費高騰は中小企業経営の重要課題になっている。
2016年3月の「人手不足」関連倒産は28件(前年同月25件)だった。内訳は、代表者死亡などによる「後継者難」型が22件、「求人難」型が2件、「従業員退職」型が4件。
事業承継問題が深刻さを増していることを背景に「後継者難」が圧倒的だが、景気の緩やかな回復の動きに合わせて人手不足感が高まっているなかで「求人難」型の推移が注目される。
2015年度(2015年4月-2016年3月)の「人手不足」関連倒産は321件(前年度比2.8%増、前年度312件)。内訳は、代表者死亡などによる「後継者難」型が287件(前年度273件)、「求人難」型が19件(同27件)、「従業員退職」型が15件(同12件)だった。また、人件費高騰による負担増から資金繰りが悪化したなどの「人件費高騰」関連倒産は、2015年度は24件(前年度29件)だった。