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2015年度上半期「労働者派遣事業」の倒産状況

 2015年度上半期(4-9月)の労働者派遣事業の倒産は31件だった。2008年同期の32件に次ぐ少なさで、年度上半期では過去8年間で最少だった。製造業やサービス業など、慢性的な人手不足を背景に、派遣労働者の需要は旺盛で、労働者派遣事業者の業績を底上げし倒産を抑制した。
ただ、一般社団法人日本人材派遣協会の統計によると、労働者派遣事業者で2015年度上半期に事業届けを更新しなかった事業所および事業廃止届けを行った事業所の数は2,745件に達し、前年同期から177件(前年同期比6.9%増、前年同期2,568件)増加。人手確保の問題や採算が悪化し、更新を断念したり閉鎖に追い込まれる事業所もあり、業界を取り巻く厳しい一面も見えた。

2015年度上半期(4-9月)の倒産、前年同期比24.4%減の31件

 2009年度上半期に労働者派遣事業の倒産件数が50件に達して以降、40件前後で推移していた倒産件数が、2015年同期に31件(前年同期比24.4%減、前年同期41件)に減少した。また、負債額も23億600万円(同59.7%減、同57億2,700万円)と前年同期を大幅に下回った。
年度推移(4-3月)では過去10年間で、2009年度の100件をピークに2014年度に70件にまで減少、2015年度上半期が2014年同期を下回る水準で推移し、2015年度も大幅減となる可能性がある。

労働者派遣業の倒産 年度上半期推移

原因別、販売不振が6割

 原因別では、最多が販売不振(業績不振)の19件(前年同期比40.6%減、前年同期32件)。次いで、他社倒産の余波が5件、過小資本、その他が各2件の順だった。
前年同期比で増加したのは他社倒産の余波(3→5件)、既往のシワ寄せ(0→2件)、その他(同)だった。他社倒産の余波は全て親会社など関連会社の連鎖倒産で、その他は2件とも代表者の体調不良や死亡など、代表者個人の問題が原因で事業続行が不可能となったケースだった。

形態別、破産が9割超

 形態別では破産が30件(前年同期比25.0%減、前年同期40件)と全体の9割を超え、特別清算が前年同期と同数の1件だった。事業再生型の民事再生法はゼロで、消滅型の破産が大勢を占めた。大手の人材派遣会社による営業攻勢を受け、赤字経営を抜け出せないまま再生意欲を絶たれ破産に追い込まれる零細業者が多いようだ。

従業員別、4人以下が約9割

 倒産した労働者派遣事業の31件は、従業員数4人以下が87.1%(27社)で、1件当たりの負債額が1億円未満が74.2%と全体の約4分3を占め、零細規模の事業者が大半だった。

 2015年9月30日、改正労働者派遣法が施行された。一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区分をなくし、届出制が廃止され許可制に一本化された。新法では派遣労働者の正社員化、均等待遇の推進など新たな規制が設けられたほか、事務所の最低面積や事業者の資産額から負債額を差し引いた基準資産の増額、事業所数当たりの預金額の上積みなど、資産要件も見直された。
法改正を機に許可要件を満たせない中小零細の派遣事業者が今後も増える一方、大手の派遣事業者は正社員を増員し、派遣労働者の囲い込みを行うなど、大手資本による寡占化が進むことを心配する事業者もいる。体力の乏しい中小零細規模の派遣事業者の淘汰が進む可能性がある。

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