「人手不足」関連倒産 2014年度は「求人難」型が前年度より2.4倍に増加
大手企業を中心に業績が好転するなかで、依然として中小企業を中心に人手不足感が解消をみせていない。東京商工リサーチでは、これまでも「人手不足」関連倒産を集計してきたが、主に代表者死亡や入院などによる「後継者難」型、経営幹部や社員の退職に起因した「従業員退職」型が中心だった。だが、最近は「求人難」型の増加が目立つ。
2015年3月の「人手不足」関連倒産は24件(前年同月28件)だった。これを受けて、2014年度(2014年4月-2015年3月)の合計が311件(前年度比16.0%増、前年度268件)に達した。内訳は「後継者難」型が272件(前年度241件)、「求人難」型が27件(同11件)、「従業員退職」型が12件(同16件)。事業継承の問題が深刻化していることを背景に「後継者難」が圧倒的だが、「求人難」型が前年度より2.4倍に増加したことが目を引く。「求人難」は景気改善の制約要因になる恐れもあるため、今後の推移が注目される。
また、最近では、人件費高騰による負担増から資金繰りが悪化し倒産に至るケースも発生している。「人件費高騰」関連倒産は、3月が1件(前年同月3件)だが、2014年度の合計は29件(前年度比141.6%増、前年度12件)になった。人手不足や人件費高騰は中小企業の重しになっている。