• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2014年「上場企業の不動産取得」調査

 2014年に国内で不動産取得や工場・社屋の新設などを開示した上場企業は56社だった。これは2013年と同数で、2008年の調査開始以来、最多タイを記録した。アベノミクスを追い風に、企業が事業拡大に備え不動産の取得など、前向きな設備投資に向かう姿勢を反映した。

  • ※本調査は、上場企業(不動産投資法人を除く)を対象に、2014年に国内不動産(固定資産)の取得(建物の新設等を含む)を決議、公表した企業を調べた。資料は『会社情報に関する適時開示資料』に基づく。

調査概要

2014年は56社 調査開始以来、最多タイの高水準

 会社情報の適時開示ベースで2014年に国内不動産(固定資産)の取得、工場や社屋などの建設を決議、公表した上場企業数は、2008年、2013年と並ぶ56社にのぼった。
過去の年間推移は、2008年の56社をピークに、09年28社、10年41社、11年36社、12年22社と減少傾向をたどっていたが、13年はアベノミクス効果から56社と一気に増加に転じた。14年も勢いが続き、08年からの調査開始以来で08年、13年と並び最多社数になった。

取得した土地総面積 公表分で48万535平方メートル

 2014年の不動産取得の面積を公表したのは33社で、合計48万535平方メートルにのぼった。非公表の会社もあり単純比較できないが、前年2013年は28社で148万4,181平方メートルだった。2013年はメガソーラー発電所建設用地(約110万平方メートル)を取得した企業があり、膨らんだ。これを除いた1社平均は、2014年が33社平均で1万4,561平方メートル、2013年は27社で平均1万4,228平方メートルと、ほとんど同水準だった。

取得土地面積トップ 新工場の建設用地取得の岡部

 公表取得土地面積のトップは、建設向け仮設・型枠、構造機材製造の岡部が8万2,946平方メートル。中期経営計画に基づき茨城県下妻市に国内最大規模の新工場を建設するため工場用地を取得した。次いで、電設資材メーカーの未来工業の約7万5,000平方メートル。既存工場の老朽化対策と物流集約化などのため、岐阜県不破郡垂井町に新工場建設を決定した。
さらに、香料メーカーの高砂香料工業が約5万平方メートルで続く。グループ全体の事業継続計画と生産効率化を推進するため、広島県三原市に新工場用地を取得した。

取得(投資)総額 50社合計で2,890億円

 取得(投資)額の総額は、公表した50社合計で2,890億5,000万円にのぼった。なお参考に前年は公表54社で4,531億9,300万円だった。
投資額のトップは、東武鉄道の1,030億円。東武ターミナル駅と百貨店が共存する池袋・船橋地区の拠点性向上を目指し、店舗改装など店舗運営の自由度を高める必要から、池袋駅ビルと船橋駅ビルの信託受益権を特別目的会社から取得した。
次いで、トーモクの150億円。関西地区における段ボール需要に対する生産、物流能力の逼迫を解消するため大阪工場に次ぐ2つ目の生産拠点として兵庫県神戸市に新工場を建設する。
日本アセットマーケティングは、グループの組織再編の一環として148億7,400万円(判明分)を投じてグループ各社が保有す建物、土地の集約化や効率的な活用・管理などを進めた。
ツカダ・グローバルホールディングは、店舗新設などのための名古屋市や東京都渋谷区の不動産を136億2,400万円を投じ取得した。
第一工業製薬は、グローバル化が進む中、保有技術の応用や新規事業のための設備投資が必要と判断、約120億円を投じて三重県四日市第3コンビナート内に新工場を建設する。

取得理由 「事業拡大」型が最多

 取得理由では、新工場や新社屋の用地取得や建設、新規事業進出などの「事業拡大」型が33社で最も多かった。次いで、本社建設や賃貸物件を自社所有にするなどの「経営安定」型が12社。賃貸用ビル、土地建物などを取得する「事業用収益物件の取得」型が11社の順。

業種別 不動産が最多8社

 業種別社数では、不動産が8社で最も多かった。次いで、化学6社、電気機器5社、卸売・サービス・金属製品・その他製品が各4社と続く。
取得(投資)金額では、最多が東武鉄道の取得金額が影響した陸運の1,030億円。次に化学の397億円、不動産337億600万円、サービス272億5,700万円、小売が178億3,100万円、パルプ・紙が150億円と続く。

 2014年に不動産取得した上場企業数は、2008年の調査開始以来で最多タイを記録した。この背景には、アベノミクス効果による景気の拡大期待があるとみられる。これを裏付けるように「事業拡大」型が最多で、前向きな設備投資に動く企業が増えると民間主導による景気拡大への牽引役が期待できる。また、急速な円安進行で上場メーカーに国内生産を再増強する動きも出てきた。
ただ、半期別でみると2014年上半期は、不動産取得の企業数が前年同期比1.5倍ペースで順調に推移していたが、下半期は同23.6%減と取得ペースが鈍化した。消費税率の引き上げによる景気腰折れ懸念を払拭できないなか、活発な設備投資が持続するか今後の推移が注目される。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ