2012年「休廃業・解散企業動向」調査 ~ 過去10年間で最多の2万7,132件 年間倒産の2.2倍 ~
2012年の休廃業・解散件数は2万7,132件に達した。2003年以降の過去10年間で最多で、2012年の倒産件数の2.2倍に達した。2012年の年間倒産は4年連続で前年を下回り、1991年以来21年ぶりの低水準で推移したが、休廃業・解散は高水準が続いている。これは企業を取り巻く環境が厳しく、業績不振や後継者難などから事業継続を断念する企業が水面下で多いことを浮き彫りにした。
- ※本調査は、東京商工リサーチの企業データベースから2012年に休廃業、解散が判明した企業を抽出した。「休廃業」は、資産が負債を上回る「資産超過」状態での事業停止で倒産には集計されない。また、「解散」は事業継続を断念する点では倒産と同じだが、資産に余力を残す状態で清算手続きをとるケースもあり、「解散」を決議した段階では倒産に集計されない。
2012年の休廃業・解散件数 年間倒産の2.2倍
2012年の休廃業・解散は、2万7,132件(前年比4.9%増、前年2万5,863件)で、2年ぶりに前年を上回った。倒産が沈静化するなか、休廃業・解散は増加を続け、2010年に倒産件数の2倍を超えたが、2012年も年間の倒産件数1万2,124件に対し2.2倍に増加した。
2012年の産業別件数 サービス業他、小売業、農・林・漁・鉱業で2ケタ増
2012年の休廃業・解散を産業別でみると、10産業のうち建設業と製造業を除く8産業で前年を上回った。このうち、サービス業他が前年比13.0%増(5,369→6,072件)、小売業が同15.9%増(3,202→3,714件)、農・林・漁・鉱業が同21.5%増(265→322件)と3産業で2ケタ増となった。
サービス業他は、零細規模の飲食業などを含み、小売業もデフレ下で価格競争が厳しさを増していることが背景にあるとみられる。
2012年の地区別件数 東北が前年比34.2%増
2012年の休廃業・解散を地区別にみると、9地区のうち関東と北陸を除く7地区で前年を上回った。このうち、東北は前年比34.2%増(1,591→2,136件)と増加率が最も高かった。
東北は、前年が震災で事業資産の流出などがあり、企業活動を把握できないケースが相当数あって前年比20.2%減と大幅に減少した。だが、2012年は復興事業が本格化するなか、事業再建を断念し、休廃業・解散を選択したケースが増えたとみられる。
今年3月末で、中小企業の金融支援に絶大な効果を発揮した「中小企業金融円滑化法」が期限切れを迎える。事業継続を断念する企業は、事業不振や後継者難など様々な要因を抱えており、こうした企業を中心に「自主廃業」に踏み切る企業は、今後も増えることが想定される。