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2012年「業歴30年以上の企業倒産」調査 ~倒産企業の平均寿命23.5年 2年連続で延びる~

2012年に倒産した業歴30年以上の『老舗』企業は3,320件と、前年(3,404件)より84件減少した。ただし、倒産件数全体に占める構成比は31.2%で、2年連続で上昇した。一方、業歴10年未満は2,488件(前年2,566件)で、構成比が23.3%となり2006年以来、6年ぶりに低下した。
老舗企業の倒産を都道府県別にみると、構成比トップは長野県(構成比60.0%)で、前年から19.4ポイントアップした。次いで、山形県(同59.6%)、新潟県(同51.7%)、香川県(同50.7%)と続き、上位4県で50%以上となった。地区別では、四国(同45.5%)が、前年より5.2ポイントアップし、2年ぶりに構成比トップとなった。四国は4県のうち、香川県(4位)、愛媛県(6位)、徳島県(8位)の3県が老舗倒産の構成比で上位10位に入った。
2012年の倒産企業の平均寿命は23.5年で、前年より0.5年延びた。金融円滑化法やセーフティ保証などの政策支援が、中小企業の資金繰りを一時的に緩和させ、企業の平均寿命を延ばした。

  • 本調査は、東京商工リサーチの集計した2012年の企業倒産、1万2,124件(負債1,000万円以上)のうち、詳細な創業年月が判明しない個人企業を除く、1万633件(構成比87.7%)を対象に分析した。なお、本文中では業歴30年以上を『老舗』企業と定義した。業歴対象は、法人企業が設立年月、個人企業は創業年月としている。


老舗企業の倒産構成比31.2% 2年連続で上昇

2012年に倒産した企業で業歴が判明した1万633件のうち、業歴30年以上の老舗企業は3,320件(構成比31.2%)で、構成比は2008年(同31.2%)と同率で、この15年で最も比率が高かった。構成比は、前年比0.1ポイント増と2年連続で上昇した。一方、業歴10年未満は2,488社(同23.3%)で、前年より0.2ポイント減。2006年以来、6年ぶりに低下に転じた。
倒産した老舗企業は、バブル景気前に設立された。景気好転とともに不動産価格が上昇し、土地神話の下、多くの企業が不動産へ資金を投下した。このため、多くの資産を抱える一方で、多額の債務を抱えるケースが多く、長引く景気低迷から企業体力が低下した。緊急保証、金融円滑化法やセーフティ保証などの金融支援策で、資金繰りは一時的に緩和したが、業績回復が伴わず息切れ状態に陥る老舗企業が多かった。
2012年の資本金別では、倒産した老舗企業は、5千万円以上1億円未満の区分で構成比が51.6%(前年49.7%)と最も高かった。次いで、個人企業他の区分で45.7%、1千万円以上5千万円未満の区分で43.9%を占めた。一方、業歴10年未満の企業では、1百万円未満の区分で96.4%(前年94.9%)と最も高かった。次に、5百万円以上1千万円未満の区分が38.4%、1百万円以上5百万円未満の区分が35.7%と続き、財務面が脆弱で事業基盤を構築する前に倒産に至るケースが多い。

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政策支援で倒産企業の平均寿命が2年連続延びる

2012年の倒産企業の平均寿命は23.5年(法人1万205件の平均寿命23.2年、個人企業428件の平均寿命30.1年)だった。2年連続で前年を上回り、ここ15年間では、2003年(24.6年)に次ぐ平均寿命の長さとなった。中小企業金融円滑化法やセーフティ保証(5号)などの政策支援策が、中小企業の資金繰りを一時的に緩和させた。とくに、2010年12月に中小企業金融円滑化法が施行されたことで、2011年(前年比0.6年増)、2012年(同0.5年増)と倒産企業の平均寿命は延びており、延命策となった可能性も否定できない。

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産業別 老舗企業倒産は製造業がトップ 業歴10年未満は金融・保険業

2012年の産業別の構成比は、老舗企業では製造業が44.8%(前年42.5%)で最も高かった。次いで、農・林・漁・鉱業の42.0%(同44.9%)、卸売業36.4%(同36.4%)、運輸業36.3%(同34.4%)、小売業31.7%(同31.3%)の順だった。
一方、業歴10年未満の構成比は、金融・保険業が57.4%(前年43.7%)で最も高かった。次いで、情報通信業37.6%(同41.9%)、サービス業他33.8%(同32.9%)と続き、この3産業が30.0%以上となった。老舗企業で構成比が最高だった製造業は14.5%(同14.2%)だった。
業歴10年未満の倒産では第三次産業で構成比が高く、金融・保険業では投資(資産)運用業などが多く、経営基盤が脆弱な状況で資産価値の下落や株価低迷が経営に大きな影響を及ぼした。

都道府県別 老舗企業倒産の構成比トップは前年20位だった長野県

2012年の都道府県別の老舗企業倒産の構成比では、長野県が60.0%(前年40.6%、前年20位)と最も高かった。特に、卸売業が80.0%、製造業が66.7%と老舗企業倒産の構成比が高かった。次いで、山形県が59.6%(同38.1%、同21位)、新潟県が51.7%(同56.6%、同1位)、香川県が50.7%(同42.1%、同16位)と続く。上位4県が50.0%を上回り、全国平均31.2%以上は31道県(同31.1%、同36道県)だった。一方、老舗企業の構成比が最も低かったのは、引き続き沖縄県で、14.0%(同13.4%、同47位)だった。
老舗企業の構成比が前年より上昇したのは17都府県(前年27道府県)。和歌山県が前年比25.8ポイント増と最も増加した。次いで、山形県が同21.5ポイント増、長野県が同19.4ポイント増、愛媛県が同12.8ポイント増、群馬県が同10.1ポイント増と続き、西日本(13府県)での増加が目立つ。

地区別 老舗企業倒産の構成比トップは四国

2012年の地区別の老舗企業倒産の構成比では、四国が45.5%(前年40.3%)と最も高く、2年ぶりにトップとなった。次いで、東北の40.2%(同41.1%)、中国の39.6%(同39.0%)と続く。これに対し、老舗企業の構成比が最も低かったのは、関東の27.3%(前年27.7%)だった。
四国は、都道府県別の老舗企業倒産の構成比で上位10位に香川県(4位、50.7%)、愛媛県(6位、46.1%)、徳島県(8位、45.9%)の3県がランクイン。一方、構成比が最も低い関東は下位10位に5都県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、茨城県)が入った。

2012年の老舗企業の負債上位の倒産事例をみると、(株)クラヴィス(7月破産、負債3,268億円)が改正貸金業法、三光汽船(株)(7月会社更生、同1,558億円)が円高や海運不況、(株)太平洋クラブ(1月民事再生、同1,100億円)が東日本大震災の影響など、業界で抱える問題により倒産したケースが目立った。長年の経験則だけではなく、時代の変化に合わせ、常に柔軟な経営方針の転換が老舗企業に求められてきている。

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