四半期ごとの企業動向を分析した最新レポートを公開 ― 「TSR経済動向調査(2025年6月調査)」分析レポートをリリース
このたび、株式会社東京商工リサーチ(以下「TSR」)は、2025年6月に実施した「TSR経済動向調査」の最新分析レポートを公開いたしました。
本調査は全国7,326社を対象に、企業活動の現況や今後の見通しを把握するため四半期ごとに実施している定点観測型のアンケート調査です。業種や企業規模、地域差による傾向の違いを可視化することで、経済全体の「兆し」をいち早く捉えることを目的としています。
主な調査トピックス
全国的に景況感が悪化 ― 地域・業種・規模で格差が拡大
6月調査では、前回(3月)調査と比較して、23項目中20項目でスコアが悪化するなど、企業の景況感が全面的に後退していることが明らかとなりました。とくに大規模企業や卸売業の悪化が顕著で、売上や価格転嫁など収益構造の脆弱さが浮き彫りになっています。
沖縄・山梨が業況上位を維持 ― インバウンド需要が地域経済を下支え
沖縄県・山梨県がともにスコア3.35で業況上位を占め、訪日外国人の増加による観光需要が引き続き地域経済を支えています。一方で、北陸・中国地方では全体的に不調傾向が続き、地域間の経済格差が拡大しています。
時系列でみる景況感の悪化 ― 需要減退とコスト高の板挟みに
仕入価格・販売価格ともに下落傾向がみられた一方で、価格転嫁が難しい状況にあり、仕入価格が上昇した企業の63.8%に対し、販売価格を上げられた企業は40.4%にとどまりました。こうしたコスト吸収圧力が企業の収益を圧迫し、先行きの倒産・廃業懸念を強めています。
「人材確保・育成」が最大の経営課題 ― 全業種・全規模で共通
67.8%の企業が「人材の確保・育成」を最重要課題に挙げており、人手不足が企業活動に深刻な影響を与え続けています。経常利益の増加企業では人件費を積極的に投じる傾向がある一方、利益が減少した企業では人件費が経営を圧迫する構図が確認され、収益格差が人材確保の面でも広がっています。
調査概要
調査名称 | TSR経済動向調査(2025年6月調査) |
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調査期間 | 2025年6月16日(月)~6月24日(火) |
調査方法 | WEBアンケート(TSRメールマガジン会員企業対象) |
有効回答数 | 7,326社 |
本レポートは四半期ごとに調査を実施し、時系列での分析を加えることで、より深い洞察やトレンドの把握が可能となります。皆様のご協力が、我が国の景況をリアルタイムに把握することを可能にし、問題点の明確化や課題解決に向けた議論のきっかけとなり、さらには経済政策や企業戦略に有効なフィードバックを提供するための貴重な基礎資料となります。
読者の皆様には、継続的な調査へのご協力をお願い申し上げます。