• プレスリリース

「複数の企業が関与する不正の評価モデル」に関する特許の共同取得について

株式会社東京商工リサーチ(以下「TSR」)、有限責任 あずさ監査法人(以下「あずさ監査法人」)、国立大学法人一橋大学(以下「一橋大学」)は、機械学習を用いた複数企業が関与する不正のリスク評価モデルを開発し、共同で特許を取得しました。

発明の名称 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
特許番号 第7146218号
特許登録日 令和4年9月26日
特許権者 株式会社東京商工リサーチ / 有限責任あずさ監査法人 / 国立大学法人一橋大学

本モデルは、計量経済学分野の高度な学術的知見を有する一橋大学、国内最大級の企業情報を有するTSR、会計不正検知に関する豊富な知見を有するあずさ監査法人が、それぞれの知見・ノウハウを結集した研究成果として、企業間取引における不正リスクを評価する目的で開発され、2022年9月に特許を取得しました。
取引関係を有する企業の集団(クラスター)レベルでの不正を検知することで、商取引における注意喚起や、監査実務における適切な監査手続の実施に寄与することが期待され、今後、実務での活用を目指しています。

1. 開発の背景

これまで、あずさ監査法人、一橋大学、TSRは、勘定科目レベル(※1)や、個別の企業レベル(※2)の不正リスクを評価するモデルの開発を行ってきました。一方で、会計不正の中には、循環取引のように複数の企業間での取引を通して行われる不正も多くあります。このような不正のリスクを評価する社会的ニーズは高いものの個社の情報から捉えることは難しいという課題がありました。そこで、企業間の繋がりを加味することで、企業間取引における不正リスクを評価する本モデルを開発しました。

(※1) 勘定科目レベルの会計不正リスク検知技術(機械学習を活用した会計不正リスク検知に関する特許取得)

(※2) 個別の企業の不正リスクを評価するモデル(東京商工リサーチ、一橋大学・あずさ監査法人との共同研究による「非上場企業の会計不正リスク」に関するワーキングペーパーを公表)

2. 本モデルの特徴

企業間のネットワーク情報(=仕入先・販売先といった企業間の取引情報)を利用して、企業の集団(クラスター)に分割し、各クラスターの特徴量を使ってリスクの度合いを示すスコアを算出しリスク評価を行っています。具体的には、機械学習を用いて、企業間の取引情報と各企業の財務情報、属性情報及び不正を行ったか否かを示す情報から学習したモデルを構築・利用することで、複数の企業が関与する不正のリスクを評価しています。


(図表)スコアリングモデルの概念図

3. 期待される効果

本モデルを使用することで、企業間取引における不正発生リスクのスコアリングに加えて、どのような要素が不正発生リスクに影響しているかを分析し、将来における不正発生予測も可能となります。


国立大学法人一橋大学(所在地:東京都国立市、学長:中野聡)について

一橋大学は、科学的知見・技術の社会実装に取り組み、「社会との共創」に向け、より一層の産学官連携活動を進めていきます。

一橋大学のウェブサイト

有限責任 あずさ監査法人(本部:東京都新宿区、理事長:森俊哉)について

あずさ監査法人は、重要な不正・誤謬を看過しないという社会の期待に応えるため、AI等の先端テクノロジーを活用して、監査の品質向上と効率化に取り組んでいます。日本企業にとって最適となる監査ソリューションを日本で独自開発し、順次展開していきます。

KPMGジャパンのウェブサイト

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ