連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」④経済
2020年6月26日に、東京大学国際高等研究所の「東京カレッジ」が主催する連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」④経済 に、弊社の共同研究先である、東京大学大学院経済学研究科政策評価研究センター(CREPE)、と一橋大学の有識者が参加され、コロナショックによる日本経済、そして世界経済にとっての喫緊の課題についてYouTubeライブ配信にて討論されました。
東京商工リサーチ、東京大学大学院経済学研究科と 政策形成(EBPM)に関する共同研究契約を締結
東京商工リサーチと一橋大学との共同研究「機械学習手法・AIを用いた企業の将来予測」に関する特許取得について
シンポジウムでは、
渡辺努氏(東京大学大学院経済学研究科教授・研究科長)からは、100万人の日本国内の購買履歴の追跡調査から、コロナショックに伴うオンライン消費の伸びは、コロナショックの前にオンラインとオフラインを併用していた若年層が、感染リスクを避けオンラインのみの消費に切り替えたことが要因であり、コロナショックの収束後には、オンラインとオフライン消費の併用に戻ることを示唆しているという報告がありました。
宮川大介氏(一橋大学大学院経営管理研究科准教授、CREPE招聘准教授)からは、コロナショック前後の倒産や休廃業といった企業の市場からの退出のメカニズムの研究から、足元の2020年4月・5月でメカニズムが変容している様子があり、飲食業や宿泊業といった特定の業種において、企業のパフォーマンスの高低によらず、退出の様子が顕著に示されているという報告がありました。
川田恵介氏(東京大学社会科学研究所准教授、CREPE)からは、コロナショックが労働市場に与えた影響をこれまでの経済不況と比較し、幅広い職種・産業の求人の低下に大きな特徴がある他、ソーシャルディスタンスに代表される新しい生活様式により経営が制限されるため、単純な景気回復が雇用回復につながらず、影響が長続きしてしまう懸念が否定できないという報告がありました。
岩本康志氏(東京大学大学院経済学研究科教授)からは、健康と経済のトレードオフという観点から、感染拡大の防止により取られた政策により経済サイクルが止まり、経済的な損失が生じてしまっていること、また、将来のwithコロナ社会では、経済と感染予防の両立が要求されるため、経済活動の一律な制限より、効果の大きい制限に絞った選択的な制限を取るべきであるという報告がありました。
コロナショックの影響の全容が明らかにならない中、各報告者からは、データ分析の重要性についても言及があり、これは政府統計に限らず、民間企業が持っているデータと共に、弊社が保有するような企業のリアルタイムデータについても「社会科学の側面」と「ビジネスの側面」双方への活用についても活発な議論がなされました。
現在のビジネスパーソン必見の内容になっておりますので、ぜひご覧ください。
