全国企業倒産状況

2025年8月の全国企業倒産805件

8月の倒産 12年ぶり800件超、人手不足倒産は「人件費高騰」が3.0倍増


 2025年8月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)は、件数が805件(前年同月比11.3%増)、負債総額は1,143億7,300万円(同12.8%増)だった。
 件数は、3カ月連続で前年同月を上回った。8月に800件台に乗せたのは、2013年の819件以来、12年ぶり。
 負債総額は、6カ月ぶりに前年同月を上回った。8月に前年同月を上回ったのは3年ぶり。10億円以上が12件(前年同月比33.3%減)、100億円以上も1件(同±0.0%)にとどまったが、5億円以上10億円未満が26件(同73.3%増)に増え、負債を押し上げた。なお、1億円未満は612件(同11.2%増)で全体の76.0%を占め、小規模倒産を中心に推移している。
 
 現時点では中小企業に相互関税の影響は小さく、金融機関への相談は少ない。また、関税は懸念材料の一つだが、金利の上昇局面でもあり予防的な資金調達の動きは目立たない。
 ただ、物価高や人件費上昇に加え、金利引き上げ、トランプ関税など、経営リスクが増えている。業績回復が遅れた中小企業は、過剰債務を抱えて新たな資金調達も難しいだけに、これから年末の資金需要に対応できない企業の息切れが、倒産を押し上げる可能性が高まっている。

企業倒産月次推移


・形態別件数:破産の構成比は今年最高の91.8%、3カ月ぶりに90%台
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが29都道府県、減少12府県、同数6県
・負債額別件数:負債1億円未満の構成比76.0%、100億円以上が2カ月連続で発生
・業種別件数:建築材料,鉱物・金属材料等卸売業などが増加
・従業員数別件数:従業員10人未満の構成比は89.6%
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)の構成比:6カ月連続で100.0%
・「人手不足」関連倒産:人件費高騰12件(前年同月4件)、従業員退職4件(同2件)、求人難7件(同10件)の合計23件(同16件)発生。8月では初めて20件台
・「物価高」倒産:55件(前年同月48件)で、3カ月連続で前年同月を上回る
・「ゼロゼロ融資」利用後の倒産:27件(同37件)で、15カ月連続で前年同月を下回る

◇倒産データ分析:https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html

産業別 倒産件数 10産業のうち、4産業で前年同月を上回る

  2025年8月の産業別件数は、10産業のうち、4産業で前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の242件(前年同月比±0.0%)だった。月次倒産に占める構成比は30.0%(前年同月33.4%)。
 このほか、不動産業31件(前年同月比72.2%増)が4カ月連続、小売業94件(同18.9%増)が3カ月連続、建設業175件(同44.6%増)が2カ月ぶり、運輸業34件(同36.0%増)が4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、情報通信業37件(同9.7%減)が3カ月連続、製造業76件(同3.7%減)が2カ月連続、農・林・漁・鉱業10件(同16.6%減)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
 サービス業他、卸売業106件は、前年同月と同件数だった。ただ、卸売業は、今年3月の100件を上回り、今年最多となった。
 金融・保険業は、2カ月連続で発生しなかった。

2025年8月 産業別倒産状況

主要産業倒産件数推移
 

主なサービス業他 倒産状況

主なサービス業他 倒産月次推移

地区別 倒産件数 9地区のうち、7地区で前年同月を上回る

  2025年8月の地区別件数は、9地区のうち、7地区で前年同月を上回った。
 北陸20件(前年同月比81.8%増)が5カ月連続、関東324件(同12.5%増)が3カ月連続、九州67件(同26.4%増)が2カ月連続、北海道22件(同10.0%増)と中国35件(同25.0%増)が4カ月ぶり、中部102件(同12.0%増)と近畿181件(同5.2%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、四国16件(同5.8%減)が4カ月連続、東北38件(同11.6%減)が2カ月連続で、それぞれ前年同月を下回った。

2025年8月 都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]
1.MPH(株)/東京都/脱毛サロン経営/260億円/破産
2.(株)N企画/群馬県/服飾品・雑貨品ほか販売/46億7,800万円/特別清算
3.(株)アール工業/広島県/各種金型製造/22億5,800万円/破産
4.(株)NCITL/東京都/コスチューム販売/18億3,500万円/特別清算
5.(株)やまぜんホームズ/三重県/戸建住宅事業/18億円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「リファラル採用」 企業の半数に広がる 定着率はリファラルが新卒、転職エージェントを上回る

東京商工リサーチは、採用に関する企業向けアンケート調査を実施した。人手不足やAI・DXの普及で転職市場の活況が続き、近年はリファラルやアルムナイ採用も広がっている。特に、リファラル採用は、転職エージェントの紹介より従業員の定着率が高いと考える企業が多いことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

大手ホテル好調 客室単価と稼働率が同時上昇 客室単価はコロナ禍の2倍超、稼働率は83.3%

インバウンド需要と国内旅行の復活で、大手ホテルの客室単価と稼働率が、コロナ禍以降で最高を更新した。 ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年度の客室単価は、1万7,818円(前年度比8.6%増)で前年度より1,424円上昇した。稼働率は83.3%(前年度82.3%)で、高水準を維持した。

3

  • TSRデータインサイト

経営責任を取る事業再生、ジュピターコーヒーは黒字化へ ~ ネクスト・キャピタル・パートナーズ 単独インタビュー ~

2025年度の企業倒産は1万505件(前年度比3.5%増)で、2年続けて1万件を超えた。 こうしたなか、20年を超すファンド運営で事業再生を数多く手掛けてきたのがネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)だ。浅野晃司・取締役執行役員に特色や取り組みを聞いた。

4

  • TSRデータインサイト

企業の7.8%で退職金「増額・導入」  「減額・廃止」企業は月給などへ、資産形成は自己責任

これまで「年功序列」や「終身雇用」が前提の日本の会社では、長く勤め上げてまとまった退職金を受け取ることが一般的だった。だが、東京商工リサーチ(TSR)のアンケート調査で、2023年以降の退職金制度は「増額・導入」が7.8%に対し、「減額・廃止」は1.9%だった。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ