全国企業倒産状況
2023年6月の全国企業倒産770件
6月の倒産 15カ月連続で増加、増加率は今年最大の41.0%増
2023年6月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が770件(前年同月比41.0%増)、負債総額は1,509億4,700万円(同87.7%減)だった。
件数は、2022年4月から15カ月連続で前年同月を上回った。増加率41.0%増は、コロナ禍以降では、裁判所がコロナ禍で業務縮小した反動で前年同月比50.3%増と急増した2021年5月以来の高水準。今年1月から増加率は同25%以上が続き、3月の同36.4%増を超え、今年最大の増加率となった。6月の700件台は2020年(780件)以来、3年ぶり。
負債総額は、前年同月に簡易再生手続(民事再生法)を申請したマレリホールディングス(株)(埼玉、負債1兆1,330億円) の大型倒産の反動で大幅に減少した。前年同月を下回ったのは、3月以来、3カ月ぶり。
2023年6月の「新型コロナウイルス」関連倒産は302件(前年同月比50.2%増)で、2023年3月(318件)に次ぐ、月間2番目に多かった。2020年2月からの累計は6,379件に達した。
・「後継者難」37件(前年同月36件)、「求人難」5件、「従業員退職」と「人件費高騰」が各3件
・形態別件数:破産が687件。法的倒産の構成比は96.1%
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが36都道府県、減少8県、同数3県
・負債別件数:負債1億円未満の構成比72.9%、100億円以上が5カ月連続で発生
・業種別件数:飲食料品小売業、飲食業、道路貨物運送業などが増加
・従業員数別件数:従業員10人未満の構成比89.2%、2カ月ぶりに80%台
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は100.0%
産業別 10産業のうち、9産業で前年同月を上回る
2023年6月の産業別件数は、農・林・漁・鉱業を除く9産業で前年同月を上回った。
最多はサービス業他の255件(前年同月比47.3%増)で、10カ月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は33.1%(前年同月31.6%)だった。
次いで、資材価格の上昇が続く建設業が150件(前年同月比33.9%増)、円安による仕入コストの上昇によるコストアップが続く、卸売業(同27.1%増)と小売業(同53.4%増)が各89件と続く。
このほか、製造業79件(同41.0%増)が11カ月連続、情報通信業26件(同44.4%増)が9カ月連続、不動産業が26件(同13.0%増)で8カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
また、金融・保険業4件(前年同月ゼロ)と運輸業43件(前年同月比59.2%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
農・林・漁・鉱業は前年同月と同件数の9件だった。
地区別 倒産件数、9地区すべてで前年同月を上回る
2023年6月の地区別件数は、2020年1月以来、3年5カ月ぶりに9地区すべてで前年同月を上回った。
関東253件(前年同月比12.9%増)が、2022年5月より14カ月連続で前年同月を上回った。このほか、九州84件(同121.0%増)が12カ月連続、近畿206件(同43.0%増)が7カ月連続、北陸14件(同55.5%増)が4カ月連続、東北54件(同134.7%増)が3カ月連続、中部92件(同39.3%増)と中国28件(同55.5%増)が2カ月連続、北海道22件(同4.7%増)と四国17件(466.6%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
1.堀正工業(株)/東京都/ベアリング販売ほか/350億円/取引停止処分
2.(株)TMD/東京都/不動産賃貸業/73億9,100万円/特別清算
3.(株)佐藤長/青森県/食品スーパー経営/63億4,700万円/民事再生法
4.(株)原武商店/福岡県/酒類卸/51億6,800万円/破産
5.(株)センチュリー/滋賀県/ゴルフ場経営/43億円/特別清算