全国企業倒産状況

2023年5月の全国企業倒産706件

5月の倒産 14カ月連続で増加、1.3倍増で高水準の増勢をたどる

 2023年5月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が706件(前年同月比34.7%増)、負債総額は2,787億3,400万円(同218.9%増)だった。
 件数は、2022年4月から14カ月連続で前年同月を上回った。連続増加の期間は1952年に集計を開始以来、1961年9月-62年11月と1979年8月-80年10月の15カ月連続に次ぐ、11番目。増加率は2023年1月から25%を上回る高水準が続き、1-5月累計は3,272件で、すでに前年上半期(1-6月)の3,060件を超えた。5月としては2018年以来、5年ぶりの700件台。
 負債総額は、2カ月連続で2,000億円を上回り、5月に2,000億円を超えたのは11年ぶり。
 2023年5月の「新型コロナウイルス」関連倒産は291件(前年同月比50.7%増)で、2023年3月の318件に次いで、月別では2番目の多さ。2020年2月からの累計は6,077件に達した。

企業倒産月次推移


・「後継者難」30件(前年同月40件)、「求人難」7件(同4件)、「人件費高騰」3件(同ゼロ)
・形態別件数:破産が633件。法的倒産の構成比は95.4%
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが30都府県、減少10道府県、同数7県
・負債別件数:負債1億円未満の構成比72.5%、100億円以上が4カ月連続で発生
・業種別件数:汎・生産・業務用機械器具製造業、飲食業などが増加
・従業員数別件数:10人未満の構成比が90.2%、16カ月ぶりに90%台
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は99.7%

産業別 10産業のうち、8産業で前年同月を上回る

 2023年5月の産業別件数は、金融・保険業、運輸業を除く8産業で前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の251件(前年同月比38.6%増)で、9カ月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は35.5%(前年同月34.5%)だった。
 次いで、資材高が続く建設業が132件(前年同月比40.4%増)で5カ月連続、円安による仕入コストが上昇している卸売業が96件(同54.8%増)で2カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。このほか、製造業69件(同9.5%増)が10カ月連続、情報通信業26件(同30.0%増)が8カ月連続、不動産業が20件(同42.8%増)で7カ月連続、農・林・漁・鉱業が7件(同250.0%増)で3カ月連続、小売業73件(同52.0%増)で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、金融・保険業5件(同16.6%減)が6カ月ぶり、運輸業27件(同20.5%減)が8カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

2023年5月 産業別倒産状況
主要産業倒産件数推移

地区別 倒産件数、北海道、四国を除く7地区で増加

 2023年5月の地区別件数は、9地区のうち、7地区で前年同月を上回った。
 関東277件(前年同月比40.6%増)が、13カ月連続で前年同月を上回った。このほか、九州57件(同26.6%増)が11カ月連続、近畿174件(同43.8%増)が6カ月連続、北陸10件(同25.0%増)が3カ月連続、東北32件(同45.4%増)が2カ月連続、中部87件(同31.8%増)と中国35件(同20.6%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、北海道が20件(同9.0%減)で、6カ月ぶり前年同月を下回った。四国が前年同月と同件数の14件だった。

2023年5月 都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]
1.FCNT(株)/神奈川県/携帯電話端末販売/872億円/民事再生法
2.ジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)/兵庫県/携帯電話端末製造/613億円/民事再生法
3.REINOWAホールディングス(株)/神奈川県/持株会社/290億円/民事再生法
4.オーサム(株)/東京都/雑貨販売ほか/45億9,200万円/破産
5.(株)大水/茨城県/不動産賃貸/40億円/特別清算

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

銀行員の年収、過去最高の653万3,000円 3メガ超えるトップはあおぞら銀行の906万円

国内銀行63行の2024年度の平均年間給与(以下、年収)は、653万3,000円(中央値639万1,000円)で、過去最高となった。前年度の633万1,000円(同627万5,000円)から、20万2,000円(3.1%増)増え、増加額は3年連続で最高を更新した。

2

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

3

  • TSRデータインサイト

「調剤薬局」 中小・零細はリソース不足で苦戦 大手は戦略的M&A、再編で経営基盤を拡大

 調剤薬局の大型再編が加速するなか、2025年1-8月の「調剤薬局」の倒産は20件(前年同期比9.0%減)で、過去最多の2021年同期と2024年同期の22件に迫る多さだった。今後の展開次第では、年間初の30件台に乗せる可能性も高まっている。

4

  • TSRデータインサイト

りそな銀行、メイン取引先数が増加 ~ 大阪府内企業の取り込み加速 ~

関西や首都圏で大企業から中堅・中小企業のメインバンクとして確固たる地位を築くりそな銀行。「2025年全国メインバンク調査」ではメインの取引社数は3メガバンクに次ぐ4位の4万511社だった。東京商工リサーチが保有する全国の企業データを活用しりそな銀行がメインバンクの企業を分析した。

5

  • TSRデータインサイト

メインバンク調査で全国5位の北洋銀行 ~圧倒する道内シェアで地域経済を牽引~

「2025年全国メインバンク調査」で、北洋銀行(2万8,462社)が3メガ、りそな銀行に次ぎ、調査開始の2013年から13年連続で全国5位を維持した。北海道に169店舗、都内1店舗を構え北海道内シェアは約4割(37.9%)に達する。

TOPへ