全国企業倒産状況

2022年8月の全国企業倒産492件

倒産

8月の倒産件数 5カ月連続で増加、新型コロナ関連倒産193件で過去3番目の多さ

 2022年8月の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が492件(前年同月比5.5%増)、負債総額は1,114億2,800万円(同22.4%増)だった。
件数は、4月から5カ月連続で前年同月を上回り、8月としては2018年同月以来、4年ぶりに増加した。倒産件数は低水準だが、底打ちから増勢に向けて潮目は変わりつつある。
負債総額は、3カ月連続で前年同月を上回った。8月としては2018年(1,212億6,800万円)以来、4年ぶりに1,000億円を超えた。最大の負債額は、倉庫、運輸業の日本ロジステック(株)(東京)の負債151億300万円。取引先が金融機関の口座を仮差押えしたことで支払い困難となり、民事再生法を申請した。負債10億円以上の大型倒産は16件(前年同月25件)と半減したが、同5億円以上10億円未満が23件(同14件)、同1億円以上5億円未満が125件(同89件)と、零細企業から中堅規模に広がりつつある。
「新型コロナウイルス」関連倒産は、193件(前年同月比50.7%増)で、2022年6月の201件に次いで過去3番目の多さ。集計開始した2020年2月からの累計は、3,851件に達した。

企業倒産月次推移


  • 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が27件(前年同月29件)
  • 形態別件数:破産が439件。法的倒産の構成比は98.5%
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが17道府県、減少23都県、同数7府県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比、今年最低の66.6%
  • 業種別件数:道路貨物運送業、老人福祉・介護事業などが増加
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比が85.1%、300人以上が2カ月連続で発生
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は3カ月ぶりに100.0%

産業別 10産業のうち、6産業で前年同月を上回る

 2022年8月の産業別件数は、農・林・漁・鉱業、小売業、金融・保険業、サービス業他を除く6産業で前年同月を上回った。
最多はサービス業他の167件(前年同月比4.0%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。このほか、小売業が45件(同28.5%減)で4カ月連続、金融・保険業が1件(前年同月3件)で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
一方、燃料価格の高止まりが続くなかで動向が注目される運輸業は35件(前年同月比133.3%増)で、6カ月連続で前年同月を上回り、今年最多となった。
また、建設業91件(同18.1%増)、不動産業17件(同41.6%増)が3カ月連続、情報通信業16件(同6.6%増)が2カ月連続、製造業52件(同15.5%増)、卸売業62件(同10.7%増)が3カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
農・林・漁・鉱業は、前年同月と同件数の6件だった。

産業別倒産

産業別倒産件数推移

地区別 倒産件数、9地区のうち、増加5地区、減少4地区

 2022年8月の地区別件数は、東北、北陸、中国、四国を除く5地区で前年同月を上回った。
関東197件(前年同月比11.9%増)が、4カ月連続で前年同月を上回った。運輸業(7→16件)、製造業(11→18件)、サービス業他(51→61件)など5産業で増加。このほか、九州41件(前年同月比5.1%増)が2カ月連続、北海道14件(同133.3%増)、中部55件(同10.0%増)、近畿132件(同9.0%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、中国17件(同19.0%減)、四国7件(同56.2%減)が3カ月連続、東北20件(同25.9%減)、北陸9件(同10.0%減)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. 日本ロジステック(株)/東京都/倉庫、運輸業/151億300万円/民事再生法
  2. 山田合金加工(株)/愛知県/ガス配管部品製造ほか/83億円/特別清算
  3. (株)セドナエンタープライズ/東京都/脱毛サロン経営/60億円/破産
  4. (株)グッドビリーヴ/大阪府/総合物流事業/57億8,900万円/破産
  5. 三崎商事(株)/大阪府/衣料品販売/46億6,300万円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ