全国企業倒産状況

2017年度(平成29年度)の全国企業倒産8,367件

2017年度の倒産

倒産件数は27年ぶりの低水準、負債総額は5年ぶりの3兆円超え

 2017年度(2017年4月-2018年3月)の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は8,367件、負債総額が3兆837億2,500万円だった。
倒産件数は、前年度比0.1%減(14件減)とほぼ横這いながら、2009年度から9年連続で前年を下回った。水準としても1990年度(7,157件)以来の少ない件数だった。
中小企業のリスケ要請に金融機関が積極的に対応しているほか、上向きな景況も影響した。ただし、月次ベースでは前年同月比増加と減少を交互に繰り返し、2017年10月には6年3カ月ぶりに2カ月連続の増加になった。さらに都道府県別では、2018年3月までに7カ月連続で前年同月比で「増加」が「減少」を上回り、年度全体では前年度比「減少」が23都道県、「増加」が22府県と拮抗するなど、倒産減少の「底打ち」を窺わせた。
一方、負債総額は前年度比58.0%増(1兆1,328億2,600万円増)。2012年度(3兆757億1,000万円)以来、5年ぶりの3兆円超えになった。この大幅増は、戦後最大の製造業倒産となったタカタ(株)(6月・負債1兆5,024億円)の民事再生法申請が影響した。ただ、全体では負債1億円未満が6,256件(構成比74.7%)を占め、小規模倒産が大半を占めた。

企業倒産年度推移


  • 上場企業倒産:タカタ(株)と(株)郷鉄工所の2件発生(前年度ゼロ)
  • 「人手不足」関連倒産:2017年度は310件(前年度327件)、このうち「求人難」型が29件(同24件)と増加
  • 法的倒産の構成比:年度過去最高の92.1%
  • 都道府県別件数:前年度比減少が23都道県、増加が22府県と拮抗
  • 負債別:10億円以上の大型倒産が198件、年度としては28年ぶりの200件割れ
  • 従業員数別:5人未満の構成比が74.0%、年度としては過去20年間で最高
  • 原因別件数:「事業上の失敗」が年度として2年連続の増加
  • 業種別:スーパー(16→32件)、パチンコホール(19→23件)、飲食業(662→741件)などで倒産増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が、年度としては9年連続の減少

産業別 10産業のうち7産業で前年度を下回る

 2017年度の産業別倒産件数は、10産業のうち、7産業で前年度を下回った。
こうしたなか、飲食業や老人福祉・介護事業などを含むサービス業他2,448件(前年度比8.5%増)と農・林・漁・鉱業68件(同4.6%増)が、ともに2年連続で前年度を上回った。また、情報通信業が338件(同0.8%増)で8年ぶりに増加に転じた。
この一方、建設業は1,548件(同2.0%減)で、9年連続の前年度比減少。2年続けて1,600件を下回る低水準にとどまった。また、製造業1,037件(前年度比6.9%減)と小売業1,121件(同2.6%減)も、ともに9年連続で前年度を下回った。
卸売業1,263件(同2.2%減)と運輸業225件(同10.0%減)がともに5年連続、金融・保険業は38件(同15.5%減)で2年連続で前年度を下回り、不動産業281件(同3.7%減)は2年ぶりに減少した。 

2017年度の産業別倒産

主要産業倒産年度推移

地区別 9地区のうち東北、中部、近畿、四国で前年度を上回る

 2017年度の地区別倒産件数は、9地区のうち、4地区で前年度を上回った。
中部1,151件(前年度比4.3%増)と東北334件(同1.2%増)が、ともに2年連続で増加した。近畿は2,202件(同7.0%増)で8年ぶりに増加に転じ、四国が151件(同14.3%増)で3年ぶりに前年度を上回った。このうち、中部の産業別では飲食業や宿泊業などを含むサービス業他(277→340件)や運輸業(24→36件)などで前年度を上回った。
また、東北が卸売業(39→52件)や建設業(65→72件)で増加が目立ち、近畿はサービス業他(601→737件)、建設業(389→407件)などで件数を押し上げた。
一方、関東は3,202件(前年度比3.5%減)で9年連続で前年度を下回った。また、九州560件(同7.4%減)と中国326件(同6.8%減)が、ともに6年連続の減少、北陸178件(同13.1%減)は5年連続で減少、北海道が263件(同5.7%減)で2年ぶりに減少した。

2017年度の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当年度の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. タカタ(株)/東京都/自動車部品製造/1兆5,024億円/民事再生法
  2. ジャパンライフ(株)/東京都/磁気治療器販売ほか/2,405億円/取引停止処分
  3. ネットカード(株)/東京都/消費者金融業/594億8,900万円/破産
  4. (株)小樽ベイシティ開発/北海道/大型商業施設管理運営/280億円/民事再生法
  5. (株)PROEARTH/神奈川県/建設機械販売、レンタル/151億8,500万円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ