全国企業倒産状況

2010年度(平成22年度)[2010.4-2011.3] 全国企業倒産状況

倒産件数 13,065件
負債総額 4兆7,245億8,400万円
対前年度比(件数) -11.3%(前年度 14,732件)
対前年度比(負債) -33.7%(前年度 7兆1,367億500万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年度比11.3%減の1万3,065件 負債総額は20年ぶりの5兆円割れ

 2010年度(2010年4月~2011年3月)全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は、1万3,065件、負債総額は4兆7,245億8,400万円となった。

倒産件数は、前年度比11.3%減。2年連続の減少で4年ぶりに1万4,000件を下回り、年度としては戦後31番目だった。減少要因としては、政府の「景気対応緊急保証制度」や「中小企業金融円滑化法」など金融支援効果が挙げられ、月次ベースでは2011年3月まで20カ月連続で前年同月を下回って推移した。

負債総額は、前年度比33.7%減。2年連続で前年を下回り、年度としては戦後20番目の規模で、1990年度(3兆2,753億1,400万円)以来20年ぶりに5兆円を割り込んだ。負債10億円以上の大型倒産が、同21.1%減の551件となり、年度としては1990年度(332件)以来の低水準にとどまったことが影響した

企業倒産年度推移


産業別

倒産件数、10産業のうち9産業で前年度比減少

 減少率は、不動産業の17.3%減(536→443件)を筆頭にして、製造業14.7%減(2,400→2,045件)、金融・保険業14.4%減(76→65件)、運輸業13.9%減(544→468件)、建設業11.7%減(3,898→3,439件)、情報通信業11.7%減(597→527件)、卸売業11.5%減(1,974→1,746件)、サービス業他10.2%減(3,004→2,695件)、小売業4.9%減(1,623→1,543件)の順。これに対して増加は、農・林・漁・鉱業17.5%増(80→94件)のみ。

このうち建設業は1994年度(3,467件)以来16年ぶりに3,500件を下回り、製造業は3年ぶりに2,100件を割り込んだ。

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 94 38,171
建設業 3,439 503,537
製造業 2,045 758,406
卸売業 1,746 487,619
小売業 1,543 232,779
金融・保険業 65 1,295,222
不動産業 443 563,113
運輸業 468 140,319
情報通信業 527 97,506
サービス業他 2,695 607,912
合計 13,065 4,724,584

※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数推移


地区別

地区別倒産件数 6年ぶりに9地区すべてで前年度を下回る

 減少率は、中国25.4%減(577→430件) 、九州20.1%減(1,050→838件)、北陸19.3%減(408→329件)、東北16.2%減(688→576件)、四国13.3%減(360→312件)、近畿10.6%減(4,050→3,618件)、関東10.2%減(5,489→4,927件)、北海道6.7%減(489→456件)、中部2.5%減(1,621→1,579件)の順。

  • 北海道:年度としては、2年連続で500件を下回る。
  • 東北:年度としては、1990年度(474件)以来20年ぶりに600件を下回る。県別件数では、全県で前年度比減少。
  • 関東:全体の件数が、年度としては3年ぶりに5,000件を割り込む。県別件数では、新潟のみ前年度比増加。
  • 中部北陸:全体の件数が、中部が年度としては3年ぶりに1,600件を下回る、北陸は3年ぶりに400件を下回る。県別件数では、静岡、愛知が前年度比増加。
  • 近畿:全体の件数が、年度としては2年ぶりの4,000件割れ。県別件数では、兵庫、和歌山が前年度比増加。
  • 中国:全体の件数が、年度としては20年ぶりに500件を下回る。県別件数では、全県で前年度比減少。
  • 四国:全体の件数が、2年連続して前年度を下回る。県別件数では、徳島、愛媛が前年度比増加。
  • 九州:年度としては平成最少。県別件数では、全県で前年度比減少。
地区別分類 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 456 115,873
東北 576 169,097
青森 84 37,798
岩手 71 27,399
宮城 147 38,937
秋田 77 9,841
山形 85 9,688
福島 112 45,434
関東 4,927 2,607,795
茨城 186 112,083
栃木 147 46,434
群馬 158 39,586
埼玉 539 94,254
千葉 388 81,934
東京 2,627 2,041,471
神奈川 698 141,172
新潟 136 41,571
山梨 48 9,290
中部 1,579 324,351
長野 156 31,534
岐阜 203 47,273
静岡 289 76,250
愛知 804 141,556
三重 127 27,738
北陸 329 90,361
富山 101 19,918
石川 140 51,677
福井 88 18,766
近畿 3,618 866,199
滋賀 140 31,638
京都 442 76,904
大阪 2,036 570,868
兵庫 718 150,068
奈良 125 14,992
和歌山 157 21,729
中国 430 324,049
鳥取 37 10,908
島根 43 7,705
岡山 120 259,286
広島 157 29,213
山口 73 16,937
四国 312 57,978
徳島 60 9,555
香川 73 12,799
愛媛 127 30,056
高知 52 5,568
九州 838 168,881
福岡 368 65,813
佐賀 44 10,849
長崎 72 9,047
熊本 112 31,995
大分 72 9,471
宮崎 58 13,239
鹿児島 53 17,473
沖縄 59 10,994
合計 13,065 4,724,584
  • ※地区の範囲は以下に定義している。
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 原因別:販売不振を中心とする「不況型」倒産構成比が年度過去最高の82.9%
  • 形態別:法的倒産の構成比が年度過去最高の79.4%
  • 従業員数別:5人未満の構成比が年度としては平成最高の66.3%
  • 負債額別:10億円以上の大型倒産が551件、1990年度(332件)以来の低水準
  • 従業員被害状況:前年度比31.2%減の8万9,354人、年度としては19年ぶりに10万人を下回る
  • 上場企業倒産が前年度比3件増の10件発生
  • 中小企業の倒産(中小企業基本法に基づく)が前年度比11.2%減の1万3,000件

当年の主な倒産

  • 日本振興銀行(株)/東京都/銀行業/6,805億6,300万円/民事再生法
  • (株)武富士/東京都/消費者金融業/4,336億800万円/会社更生法
  • (株)林原/岡山県/食品原料、医薬・試薬品等製造/1,322億7,100万円/会社更生法
  • 中小企業保証機構(株)/大阪府/金銭貸付、信用保証ほか/1,269億6,200万円/民事再生法
  • JPエクスプレス(株)/東京都/宅配便事業/681億4,900万円/特別清算

禁・転載・複写

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ