全国企業倒産状況

2022年6月の全国企業倒産546件

2022年6月の倒産

6月の倒産件数 3カ月連続の増加で増勢強まる、新型コロナ関連倒産は200件

 2022年6月の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が546件(前年同月比0.9%増)、負債総額が1兆2,325億8,300万円(同1697.6%増)だった。
件数は、4月から3カ月連続で前年同月を上回った。コロナ関連の資金繰り支援策による効果が薄れ、倒産は抑制から増勢に潮目が変わりつつある。ただ、6月は2年連続で500件台にとどまり、低水準下での底打ちの様相をみせている。
負債総額は、3カ月ぶりに前年同月を上回り、6月としては2017年の1兆5,883億3,900万円以来、5年ぶりに1兆円台に乗せた。これは事業再生ADRによる再生手続を目指しながら全金融機関から同意を得られず、簡易再生手続(民事再生法)を申請したマレリホールディングス(株)(埼玉県、負債1兆1,330億円)が負債全体の9割(91.9%)を占めた。
6月の「新型コロナウイルス」関連倒産は、200件(前年同月比44.9%増)で、3月(205件)に次ぐ2番目の高水準だった。2020年2月からの累計は3,485件に達した。

企業倒産月次推移


  • 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が36件(前年同月39件)
  • 形態別件数:破産が497件。法的倒産の構成比は98.3%
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが20都道府県、減少21県、同数6県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比が74.3%、5年ぶりに1兆円超の倒産が発生
  • 業種別件数:金属製品製造業、宿泊業、飲食料品製造業などで増加
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比が87.9%、300人以上は18カ月連続で発生なし
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は99.8%で、11カ月ぶりに100%にならず

産業別 10産業のうち、5産業で前年同月を上回る

 2022年6月の産業別件数は、農・林・漁・鉱業、建設業、不動産業、運輸業、サービス業他の5産業が増加した。
最多はサービス業他の173件(前年同月比4.8%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。このほか、燃料価格の高止まりが続くなかでの動向が注目される運輸業は27件(同28.5%増)で、4カ月連続で前年同月を上回った。また、農・林・漁・鉱業9件(同80.0%増)は2カ月ぶり、建設業112件(同12.0%増)は3カ月ぶり、不動産業23件(同27.7%増)は5カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、小売業58件(同12.1%減)は、2カ月連続で前年同月を下回った。このほか、情報通信業18件(同14.2%減)は2カ月ぶり、金融・保険業ゼロ(前年同月1件)、製造業56件(前年同月比9.6%減)は3カ月ぶり、卸売業70件(同14.6%減)は4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

2022年6月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 倒産件数、9地区のうち、4地区で前年同月を上回る

 2022年6月の地区別件数は、4地区で前年同月を上回った。
北海道21件(前年同月比75.0%増)は、2022年3月より4カ月連続で前年同月を上回った。このほか、中部66件(同20.0%増)は3カ月連続、関東224件(同4.6%増)、近畿144件(同8.2%増)は2カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
一方、東北23件(同8.0%減)は、6カ月ぶりに前年同月を下回った。また、北陸9件(同60.8%減)は3カ月連続、九州38件(同7.3%減)は5カ月ぶり、中国18件(同25.0%減)は3カ月ぶり、四国3件(同78.5%減)は2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

2022年6月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. マレリホールディングス(株)/埼玉県/純粋持株会社/1兆1,330億円/民事再生法
  2. (株)SH東雲堂/広島県/書籍販売ほか/193億100万円/特別清算
  3. (株)アリウム商事/鹿児島県/家電量販店経営/100億円/特別清算
  4. (株)UST/奈良県/不動産賃貸業/29億円/破産
  5. (株)日豊社/大阪府/広告代理業/28億2,500万円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ