全国企業倒産状況

2020年9月の全国企業倒産565件

2020年9月の倒産

件数は3カ月連続で減少、「新型コロナ」関連倒産は78件

 2020年9月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が565件(前年同月比19.5%減)、負債総額は707億4,000万円(同37.3%減)だった。
件数は、新型コロナ感染拡大の政府・自治体、金融機関の資金繰り支援効果で、7月以降、3カ月連続で前年同月を下回り、2019年2月(588件)以来、19カ月ぶりの500件台にとどまった。9月度では、1991年以降の30年間で最少となった。
負債総額は、2カ月連続で前年同月を下回り、9月度では1991年以降の30年間で最少を記録した。負債100億円以上が前年同月と同件数の1件にとどまり、同10億円以上が11件(同19件)、同5億円以上10億円未満が12件(同21件)と、前年同月を下回った。また、同1億円未満は459件(同539件)で構成比81.2%と、30年間で初めて80%台に達し、小・零細企業の倒産を色濃く反映した格好となった。
「新型コロナウイルス」関連倒産は、9月は78件(2月以降、累計497件)発生した。

企業倒産月次推移


  • 「人手不足」関連倒産は42件(前年同月35件)。うち、「後継者難」が34件(同27件)
  • 形態別件数:破産が518件。法的倒産の構成比98.2%で過去最高
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが13府県、減少27都府県、同数7道県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比が81.2%、30年間で初の80%台
  • 業種別件数:飲食料品小売業、医療,福祉事業などで倒産減少
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比が30年間の最高の92.9%
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は565件で、2カ月ぶりに100.0%

産業別 最多はサービス業他、10産業のうち6産業で前年同月を下回る

 2020年9月の産業別は、10産業のうち、6産業で前年同月を下回った。
最多は、新型コロナウイルス感染拡大でインバウンドの消失、外出自粛などの影響を受けた飲食業、宿泊業を含むサービス業他が200件(前年同月比6.1%減)で、4カ月ぶりに前年同月を下回った。
“巣ごもり需要”効果のあった飲食料品小売業(27→13件)などの小売業が78件(前年同月比24.2%減)で、5カ月連続で減少した。このほか、建設業83件(同28.4%減)が6カ月連続、製造業64件(同37.8%減)が5カ月連続、運輸業12件(同57.1%減)が2カ月連続、卸売業65件(同31.5%減)が4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
一方、不動産業21件(同50.0%増)と情報通信業25件(同25.0%増)が2カ月連続、農・林・漁・鉱業14件(同55.5%増)と金融・保険業3件(同200.0%増)が2カ月ぶりに、それぞれ増加した。

2020年9月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち、北海道を除く8地区で前年同月を下回る

 2020年9月の地区別件数は、9地区のうち、8地区で前年同月を下回った。北海道は前年同月と同件数で、増加した地区がゼロは、2020年5月以来。
四国14件(前年同月比6.6%減)が5カ月連続で、前年同月を下回った。東北19件(同55.8%減)と北陸11件(同26.6%減)、九州46件(同25.8%減)が3カ月連続、関東225件(同16.0%減)が2カ月連続、中部73件(同19.7%減)が2カ月ぶり、近畿146件(同14.1%減)と中国20件(同25.9%減)が4カ月ぶり、それぞれ減少した。
減少率が最大の東北は、サービス業他(12→2件)など6産業で前年同月を下回った。

2020年9月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. (株)ANGELO/兵庫県/不動産賃貸/125億3,700万円/取引停止処分
  2. (株)ヤマダエコソリューション/福岡県/家電製品配送・取付設置工事請負ほか/43億300万円/破産
  3. 昌和自動車(株)/大阪府/自動車販売/38億6,000万円/破産
  4. SMK-LOGOMOTION(株)/東京都/電子機器部品開発/30億3,500万円/破産
  5. (株)阿知波組/大阪府/重量物運送業ほか/26億円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ