全国企業倒産状況

2020年4月の全国企業倒産743件

2020年4月の倒産

倒産件数が743件 8カ月連続で増加、「新型コロナウイルス」関連倒産が71件発生

 2020年4月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が743件(前年同月比15.1%増)、負債総額が1,449億9,000万円(同35.6%増)だった。
件数は、2019年9月から8カ月連続で前年同月を上回った。増加率は15.1%増で、2019年12月から5カ月連続10%超を持続し、リーマン・ショック時の4カ月連続(2008年12月-2009年3月)を抜いた。4月度としては2014年以来、6年ぶりに前年同月を上回り、700件台に乗せた。ただ、バブル期の1991年以降の30年間では、2016年(695件)に次いで、5番目に低い水準。「新型コロナウイルス」関連倒産は、71件(2月1件、3月12件)発生した。
負債総額は、2カ月連続で前年同月を上回った。負債100億円以上の大型倒産は1件(前年同月2件)にとどまったが、同10億円以上50億円未満は21件(同13件)、同50億円以上100億円未満も4件(同ゼロ)と、中堅規模の倒産は増加し、負債を押し上げた。同1億円未満は542件(同470件)で全体の72.9%を占め、小規模倒産が件数を押し上げる状況に変化はなく、4月度では過去30年間で6番目の低水準だった。

企業倒産月次推移


  • 「人手不足」関連倒産45件(前年同月26件)。うち、「後継者難」が37件(同15件)
  • 形態別件数:破産が660件、構成比は88.8%
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが31道府県、減少13都府県、同数3県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比が72.9%。100億円以上の倒産は3カ月ぶりに発生
  • 業種別件数:宿泊業、飲食業、アパレル関連の業種で倒産が目立つ
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比85.3%。300人以上は2カ月連続で発生
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は743件で、3カ月連続で構成比100.0%

産業別 最多はサービス業他、10産業のうち8産業で前年同月を上回る

 2020年4月の産業別件数は、10産業のうち、8産業で前年同月を上回った。
新型コロナウイルスの感染拡大でインバンド需要の消失、外出自粛などの影響を大きく受けた宿泊業や飲食業が含まれるサービス業他が253件(前年同月比17.1%増)と最多で、4カ月連続で前年同月を上回った。さらに、2019年10月の消費増税や暖冬などの影響もあり販売不振が続くアパレル関連などが注目されている小売業は114件(同29.5%増)で、2カ月ぶりに増加した。
そのほか、卸売業88件(同15.7%増)が6カ月連続、製造業99件(同19.2%増)が5カ月連続、金融・保険業4件(同33.3%増)が3カ月連続、不動産業22件(同4.7%増)、情報通信業23件(同21.0%増)が2カ月連続、運輸業21件(同40.0%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。一方、建設業は111件(同4.3%減)で、6カ月ぶりに減少。また、農・林・漁・鉱業は8件(同±0.0%)で、前年同月と同件数。

2020年4月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち8地区で前年同月を上回る

 2020年4月の地区別件数は、9地区のうち、関東を除く、8地区で前年同月を上回った。
近畿179件(前年同月比7.1%増)が10カ月連続で前年同月を上回った。10カ月以上連続で前年同月を上回ったのは2008年7月-2009年8月の14カ月連続以来。また、中国41件(同70.8%増)が8カ月連続、北陸22件(同83.3%増)が5カ月連続、東北42件(同121.0%増)、中部117件(同51.9%増)が2カ月連続、北海道25件(同56.2%増)が3カ月ぶり、四国20件(同11.1%増)、九州64件(同12.2%増)が2カ月ぶりに、それぞれ増加した。
一方、関東は233件(同8.6%減)で、5カ月ぶりに前年同月を下回った。

2020年4月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. WBFホテル&リゾーツ(株)/大阪府/ホテル・リゾート運営受託ほか/160億円/民事再生法
  2. (株)エターナルアミューズメント/東京都/ゲーム機器販売、アミューズメント施設運営/84億円/破産
  3. キャスキッドソンジャパン(株)/東京都/鞄、雑貨製品販売/65億円/破産
  4. 旭東電気(株)/大阪府/各種漏電しゃ断器・安全ブレーカ製造/62億9,800万円/民事再生法
  5. (株)ロイヤルオークリゾート/滋賀県/ホテル経営/50億円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ