全国企業倒産状況

2020年1月の全国企業倒産773件

2020年1月の倒産

倒産件数が773件 5カ月連続で増加 増加率は2カ月連続で10%超

  2020年1月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が773件(前年同月比16.0%増)、負債総額は1,247億3,400万円(同25.9%減)だった。
件数は、リーマン・ショック直前の2008年6月-2009年4月までの11カ月連続以来、5カ月以上連続で件数が前年同月を上回ったのは約11年ぶりに。また、1月としては3年連続で前年同月を上回った。ただ、バブル崩壊後の1991年以降の30年間では、2015年(721件)に次いで、7番目に低い水準にとどまった。
負債総額は、3カ月ぶりに前年同月を下回った。負債100億円以上は前年同月と同件数の2件だったが、同10億円以上50億円未満が13件(前年同月16件)、50億円以上100億円未満が1件(同3件)と減少したのが主な要因。依然として同1億円未満が573件(同494件)と全体の74.1%を占め、小・零細企業を中心に1月としての負債は30年間で2018年(1,045億5,900万円)に次ぐ、2番目の低水準だった。

企業倒産月次推移


  • 「人手不足」関連倒産55件(前年同月25件)。調査を開始した2013年1月以降、最多件数
  • 形態別件数:破産が684件、構成比は88.4%
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが32道府県、減少11都県、同数4県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比が74.1%。100億円以上の大型倒産は2件で、3カ月連続で発生
  • 業種別件数:建築材料,鉱物・金属材料等卸売業が前年同月比130.0%増(10→23件)、繊維・衣服等卸売業が同122.2%増(9→20件)、老人福祉・介護事業が同80.0%増(10→18件)、飲食料品卸売業が同57.1%増(21→33件)、飲食業が同52.8%増(53→81件)などで増加
  • 従業員数別件数:5人未満の構成比が74.1%。10人未満の構成比は4カ月連続で前年同月を上回った
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は772件。構成比99.8%

産業別 最多はサービス業他、10産業のうち7産業で前年同月を上回る

 2020年1月の産業別件数は、10産業のうち、7産業で前年同月を上回った。
農・林・漁・鉱業13件(前年同月比160.0%増)が5カ月連続、建設業119件(同5.3%増)と卸売業129件(同51.7%増)が3カ月連続、製造業85件(同6.2%増)が2カ月連続、不動産業23件(同15.0%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
また、燃料費の高止まりや、人手不足などが懸念される運輸業は28件(同27.2%増)で4カ月ぶり、飲食業(53→81件)や宿泊業(9→10件)を含むサービス業他は262件(前年同月比31.0%増)で3カ月ぶりに、それぞれ増加した。
一方、情報通信業14件(同65.0%減)が3カ月ぶり、金融・保険業ゼロ(同100.0%減)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
2019年10月に実施された消費税率引き上げの影響などが懸念される小売業は前年同月と同数の100件と、引き続き高い水準で推移した。

2020年1月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区すべてで前年同月を上回る

 2020年1月の地区別件数は、9地区すべてで前年同月を上回った。全地区で前年同月を上回ったのは、リーマン・ショック後の2008年12月以来、11年1カ月(133カ月)ぶり。
増加率は、東北176.4%増(17→47件)、中国52.3%増(21→32件)、北海道31.2%増(16→21件)、中部18.8%増(90→107件)、四国16.6%増(12→14件)、北陸15.7%増(19→22件)、関東9.4%増(244→267件)、九州8.0%増(62→67件)、近畿5.9%増(185→196件)の順。近畿が7カ月連続、中国と四国が5カ月連続、九州が3カ月連続、東北と関東、北陸が2カ月連続、北海道が5カ月ぶり、中部が3カ月ぶりに増加した。

2020年1月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. (株)ヤマニシ/宮城県/造船業ほか/120億8,400万円/会社更生法
  2. (株)ユニカ/福岡県/分譲マンション企画販売/112億円/特別清算
  3. (株)玉屋/島根県/紙製品卸/60億2,600万円/民事再生法
  4. (株)イズミプロセス/静岡県/シルクスクリーン印刷ほか/39億円/特別清算
  5. NF管理(株)/兵庫県/外食事業、不動産賃貸/35億円/特別清算

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ