全国企業倒産状況

2019年10月の全国企業倒産780件

2019年10月の倒産

倒産件数が780件 2カ月連続で前年同月を上回る

 2019年10月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が780件(前年同月比6.8%増)、負債総額は885億7,800万円(同24.6%減)だった。
件数は2カ月連続で前年同月を上回り、7月(802件)に次ぐ今年2番目の高水準となった。10月度では2年ぶりに前年同月を上回ったが、1990年以降の30年間では2015年(742件)に次いで、6番目の低水準にとどまった。
負債総額は5カ月連続で前年同月を下回った。10月度で負債が1,000億円割れとなったのは、2017年(958億7,900万円)以来、2年ぶり。この30年間で最少を記録した。負債1億円未満が603件(前年同月541件)で全体の77.3%を占め、構成比は前年同月より11.4%ポイント上回り、小・零細企業を中心にした状況が鮮明になった。一方、負債50億円以上の大型倒産は発生がなく(前年同月2件)、10億円以上50億円未満は16件(同15件)だった。

企業倒産月次推移


  • 「人手不足」関連倒産37件(前年同月25件)。このうち、「人件費高騰」が4件
  • 形態別件数:破産が679件、構成比は87.0%
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが25府県、減少18都道県、同数4県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比が77.3%、100億円以上の大型倒産が2カ月ぶりに発生がなかった
  • 業種別件数:飲食業(55→80件)、飲食料品小売業(28→37件)、飲食料品製造業(19→25件)、印刷・同関連業(5→16件)、機械器具卸売業(25→32件)、機械器具小売業(14→24件)などで増加
  • 従業員数別件数:5人未満の構成比が76.1%。10人未満の構成比は2カ月ぶりに前年同月を上回った
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)が、8カ月連続で構成比100.0%

産業別 最多はサービス業他、10産業のうち5産業で前年同月を上回る

 2019年10月の産業別件数は、10産業のうち、5産業で前年同月を上回った。
10月に消費増税が実施され今後の影響が懸念される小売業は121件(同14.1%増)で、5カ月連続で増加。シェアハウス問題以降、金融機関の融資姿勢が慎重になり、ここ数カ月では物件の回転率の落ち込みが顕著となっている不動産業は27件(同68.7%増)で、2カ月連続で前年同月を上回る。また、飲食業を含むサービス業他239件(同8.1%増)、製造業113件(同31.3%増)、農・林・漁・鉱業10件(同100.0%増)は、それぞれ2カ月連続で増加した。
一方、燃料費の高止まりや、人手不足が懸念される運輸業は13件(同43.4%減)で、8カ月ぶりに前年同月を下回った。また、情報通信業26件(同10.3%減)と、卸売業106件(同9.4%減)、金融・保険業4件(同20.0%減)は2カ月連続、建設業121件(同0.8%減)は2カ月ぶりに、それぞれ減少した。

2019年10月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち6地区で前年同月を上回る

 2019年10月の地区別件数は、9地区のうち、北海道、北陸、九州を除く6地区で前年同月を上回った。
関東が273件(前年同月比5.4%増)で、5カ月連続で増加。近畿は222件(同11.0%増)で4カ月連続、東北37件(同48.0%増)、中部99件(同3.1%増)、中国49件(同36.1%増)、四国19件(同11.7%増)は2カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
一方、北海道は12件(同20.0%減)、北陸は14件(同22.2%減)と、それぞれ2カ月連続で前年同月を下回った。九州は55件(同14.0%減)で、2カ月ぶりに減少した。

2019年10月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. (株)セーフティーアイランド/兵庫県/産業廃棄物収集・運搬・中間処理業/48億2,500万円/民事再生法
  2. リスボン・ホールディングス(株)/東京都/投資業/30億1,700万円/特別清算
  3. 藤﨑(株)/埼玉県/酒造業ほか/30億円/特別清算
  4. サンキョウハウジング(株)/広島県/建築工事/18億3,000万円/破産
  5. (株)メモリア/大阪府/広告マネジメント業/17億8,600万円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ