全国企業倒産状況

2018年12月の全国企業倒産622件

2018年12月の倒産

倒産件数622件 12月度としては過去30年で2番目に少ない水準

 2018年12月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は件数が622件、負債総額は817億9,200万円だった。
倒産件数は、前年同月比10.6%減(74件減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。また12月度では、1989年(493件)に次いで、過去30年で2番目に少ない件数にとどまった。
また、12月度の「人手不足」関連倒産は25件(前年同月23件)になり、2カ月連続で前年同月を上回った。内訳では、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が6件(同3件)発生するなど、今後の推移が注目される。
一方、負債総額は前年同月比79.4%減(3,158億300万円減)で2カ月連続で前年同月を下回り、2018年としては最少金額にとどまった。負債10億円以上の大型倒産が15件(前年同月22件)にとどまり、全体では、1億円未満が461件(構成比74.1%)と全体の7割を占め、小規模模企業の倒産が大半であることに変わりがなかった。

企業倒産月次推移


  • 「人手不足」関連倒産が25件(前年同月23件)で2カ月連続で前年同月を上回る、このうち「求人難」型が6件(同3件)発生
  • 件数が増加した産業:サービス業他が3カ月連続、不動産業が4カ月ぶり、情報通信業が3カ月ぶりに前年同月を上回る
  • 法的倒産の構成比:高率の94.3%を占める
  • 従業員数別:300人以上が12カ月連続発生なし
  • 2018年9月に発生した「北海道胆振東部地震」関連倒産が1件発生(累計3件)
  • 業種別:パチンコホール(1→6件)、道路貨物運送業(18→20件)、飲食業(63→65件)などで倒産増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)件数が、12カ月連続ですべて(構成比100%)を占める

産業別 サービス業他が3カ月連続増加

 2018年12月の産業別倒産件数は、10産業のうち、6産業で前年同月を下回った。
こうしたなか、サービス業他が219件(前年同月比1.3%増)で3カ月連続で増加した。主な内訳では、マッサージ業などの療術業(4→10件)、労働者派遣業(8→12件)などで増加が目立った。また、不動産業が30件(前年同月比57.8%増)で4カ月ぶり、情報通信業が20件(同17.6%増)で3カ月ぶりで前年同月を上回った。
一方、建設業は97件(前年同月比17.0%減)になり、9カ月連続の減少。卸売業は84件(同22.9%減)で2カ月連続の減少。また、製造業73件(同8.7%減)と小売業72件(同33.3%減)、金融・保険業2件(前年同月3件)が3カ月ぶりに前年同月を下回り、農・林・漁・鉱業は3件(同5件)は2カ月ぶりの減少。このほか、運輸業が前年同月同数の22件だった。なお、建設業・卸売業・小売業・情報通信業は2018年では最小件数だった。

2018年12月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち6地区で前年同月を下回る

 2018年12月の地区別件数は、9地区のうち、6地区で前年同月を下回った。
こうしたなか、北陸だけが13件(前年同月比85.7%増)で2カ月連続で前年同月を上回った。また、中部が前年同月同数の95件、北海道が前年同月同数の18件だった。産業別では、北陸が製造業(1→5件)や建設業(ゼロ→3件)で増加をみせた。また、中部は建設業(16→23件)、北海道は卸売業(1→4件)で件数を押し上げた。
この一方、減少は中国が26件(前年同月比7.1%減)で2カ月連続で減少したほか、九州が43件(同18.8%減)で10カ月ぶり、四国13件(同27.7%減)が7カ月ぶりに前年同月を下回った。また、東北20件(同55.5%減)が5カ月ぶり、近畿153件(同12.0%減)が3カ月ぶり、関東241件(同6.5%減)が2カ月ぶりに減少した。このうち、東北は2018年としては最小件数にとどまった。

2018年12月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. イーター電機工業(株)/東京都/スイッチング電源機器製造/54億3,600万円/破産
  2. (株)板橋開発/東京都/CD・DVD卸/50億円/特別清算
  3. (株)浜幸/高知県/パチンコホール経営/33億円/破産
  4. (株)ライト実業/愛知県/紳士服卸/22億円/特別清算
  5. 日本機動建設(株)/兵庫県/土木・建築工事/19億6,400万円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ