全国企業倒産状況

2017年12月の全国企業倒産696件

2017年12月の倒産

倒産件数は696件 都道府県別では4カ月連続で「増加」が「減少」を上回る

 2017年(平成29年)12月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は件数が696件、負債総額は3,975億9,500万円だった。
倒産件数は、前年同月比1.9%減(14件減)。2カ月連続で前年同月を下回り、12月としては1998年年以降の過去20年間では2014年(686件)に次ぐ低水準にとどまった。
こうしたなか都道府県別では、前年同月より増加が23府県、減少が22都道府県になり、4カ月連続で「増加」が「減少」を上回った。これは、リーマン・ショックがあった2008年6月から2009年3月までの10カ月連続以来のことで、倒産減少の全国的な「底打ち」を浮き彫りにした。
一方、負債総額は、前年同月比131.6%増(2,259億2,900万円増)と2.3倍増に膨れた。これは、磁気治療器販売ほかのジャパンライフ(株)(東京・負債2,405億円・取引停止処分)の大型倒産が発生したことによる。この1件だけで月次負債の6割(構成比60.4%)を占めた。

企業倒産月次推移


  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが23府県、減少が22都道府県になり、4カ月連続で「増加」が「減少」を上回る
  • 形態別:特別清算が2017年としては最多38件発生
  • 原因別件数:「事業上の失敗」が前年同月比72.0%増(25→43件)
  • 従業員数別:5人未満の構成比が72.9%、21カ月連続で70%を上回る
  • 「人手不足」関連倒産23件、このうち「求人難」型が3件発生
  • 業種別:道路貨物運送業(14→18件)、飲食業(53→63件)などで倒産増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)件数が、2カ月連続で前年同月を下回る

産業別 サービス業他が10カ月連続で前年同月を上回る

 2017年12月の産業別倒産件数は、10産業のうち5産業で前年同月を上回った。
このうち、サービス業他が216件(前年同月比9.6%増)で10カ月連続の増加。主な内訳では、酒場,ビヤホール(4→11件)などの飲食業、美容業(4→8件)、労働者派遣業(4→8件)などで増加をみせた。
また、小売業108件(前年同月比11.3%増)と農・林・漁・鉱業5件(前年同月2件)がともに7カ月ぶり、金融・保険業は3件(同ゼロ)で4カ月ぶり、卸売業109件(前年同月比4.8%増)と運輸業22件(同46.6%増)がともに2カ月ぶりに前年同月を上回った。
この一方で、製造業が80件(同19.1%減)で7カ月連続の減少、不動産業が19件(同20.8%減)で5カ月連続の減少、建設業は117件(同18.7%減)で4カ月ぶりに前年同月を下回り、情報通信業が17件(同39.2%減)で2カ月ぶりで減少した。

2017年12月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 東北が2017年としては最多の45件

 2017年12月の地区別件数は、9地区のうち5地区で前年同月を下回った。
このうち、東北は2017年としては最多の45件(前年同月比73.0%増)。4カ月ぶりに前年同月を上回り、東北が40件台になったのは2015年3月(43件)以来、2年9カ月ぶり。
また、九州53件(前年同月比51.4%増)と四国18件(同100.0%増)はともに2カ月ぶりに前年同月を上回った。産業別では、東北が建設業(6→12件)や製造業(3→9件)で件数を押し上げた。九州は小売業(6→14件)、四国は建設業(3→6件)などで増加が目立った。一方、関東が258件(前年同月比10.4%減)で3カ月連続の減少。近畿は174件(同2.2%減)で6カ月ぶりに減少に転じ、中部95件(同12.0%減)と北陸7件(同61.1%減)はともに4カ月ぶりの減少、北海道は18件(同10.0%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回り、中国が前年同月同数の28件だった。

2017年12月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. ジャパンライフ(株)/東京都/磁気治療器販売ほか/2,405億円/取引停止処分
  2. (株)小樽ベイシティ開発/北海道/大型商業施設管理運営/280億円/民事再生法
  3. (株)PROEARTH/神奈川県/建設機械販売、レンタル/151億8,500万円/民事再生法
  4. トキワ印刷(株)/福島県/印刷業/94億8,400万円/会社更生法
  5. (株)RRHH/広島県/ホテル経営/89億5,100万円/特別清算

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ