全国企業倒産状況

2017年8月の全国企業倒産639件

2017年8月の倒産

倒産件数は今年2番目に少ない639件、負債総額は11カ月ぶりの1,000億円割れ

 2017年(平成29年)8月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が639件、負債総額は923億7,500万円だった。
倒産件数は、前年同月比11.9%減(87件減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。1月(605件)に次いで今年2番目に少ない件数で、8月としても2015年(632件)以来の2年ぶりの700件割れになるなど低水準な推移に変わりがない。
なお、3月以降は前年同月比増加(3月、5月、7月)と減少(4月、6月、8月)を繰り返す一進一退が続いている。
負債総額は、前年同月比26.7%減(336億7,400万円減)で2カ月連続で前年同月を下回り、2016年9月(850億6,300万円)以来の1,000億円割れとなった。負債100億円以上の大型倒産が2カ月連続の発生なしだった一方で、負債1億円未満が500件(前年同月比7.5%減、構成比78.2%)になり、小規模倒産が中心で推移している。

企業倒産月次推移


  • 形態別:法的倒産の構成比が過去最高の94.6%、特別清算が7カ月連続で前年同月を上回る
  • 原因別:「販売不振」の構成比が69.7%、前年同月比2.7ポイント上昇
  • 従業員数別:5人未満の構成比が74.8%、17カ月連続で70%を上回る
  • 負債別:負債100億円以上の大型倒産が2カ月連続で発生なし
  • 「人手不足」関連倒産は20件で、このうち「後継者難」型が17件
  • 「熊本地震」関連倒産が1件発生、累計で22件にのぼる
  • 業種別:飲食業(38→73件)、道路貨物運送業(10→16件)、旅行業(2→5件)などで倒産増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が3カ月ぶりにすべて(構成比100.0%)を占める

産業別 サービス業他が6カ月連続で前年同月を上回る

 2017年8月の産業別倒産件数は、10産業のうち7産業で前年同月を下回った。
このうち、サービス業他は192件(前年同月比7.2%増)で6カ月連続の増加。内訳では、食堂,レストラン(9→20件)、専門料理店(7→16件)など飲食業で増加が目立った。また、運輸業は19件(前年同月比35.7%増)になり5カ月ぶりの増加、金融・保険業は4件だが3カ月連続の増加。
この一方で、製造業81件(同22.8%減)と小売業78件(同17.8%減)が、ともに3カ月連続で前年同月を下回った。情報通信業23件(同20.6%減)と農・林・漁・鉱業4件(同20.0%減)はともに2カ月連続で減少した。
また、建設業142件(同2.0%減)と卸売業81件(同36.7%減)および不動産業15件(同34.7%減)がそろって2カ月ぶりに前年同月を下回った。

2017年7月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち6地区で前年同月を下回る

 2017年8月の地区別件数は、9地区のうち6地区で前年同月を下回った。
こうしたなか、近畿181件(前年同月比2.8%増)と東北27件(同8.0%増)が2カ月連続で前年同月を上回った。また、中国24件(同4.3%増)が4カ月ぶりに増加に転じた。
一方、中部84件(前年同月比9.6%減)が4カ月連続の減少、九州は38件(同19.1%減)で3カ月連続で前年同月を下回った。また、北海道16件(同27.2%減)と四国10件(同41.1%減)が2カ月連続マイナス。関東247件(同18.7%減)と北陸12件(同36.8%減)が2カ月ぶりに前年同月を下回った。

2017年8月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. ATT(株)/東京都/保護フィルム等販売/89億9,800万円/破産
  2. 千葉フェノール(株)/東京都/フェノール製造/49億500万円/特別清算
  3. (株)エヌエスコーポレーション/埼玉県/不動産業/32億円/取引停止処分
  4. (株)東京LB/東京都/地質調査、土木設計/30億300万円/特別清算
  5. (株)抗菌研究所/栃木県/ホタテ貝殻パウダー製造販売/27億5,900万円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ