全国企業倒産状況
2015年10月の全国企業倒産742件
10月では25年ぶり800件割れ、負債50億円以上の倒産が26年4カ月ぶりに発生なし
2015年(平成27年)10月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が742件、負債総額は1,062億4,100万円だった。
倒産件数は、前年同月比7.2%減(58件減)で、7カ月連続で前年同月を下回った。10月度としては、1990年(646件)以来25年ぶりに800件を下回る低水準だった。
金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの金融支援や、大手輸出企業を中心とした業績拡大に牽引される形で景気が底上げされていることも影響した。
負債総額は、前年同月比14.3%減(178億7,200万円減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。10月度としてはバブル景気時の1989年(1,013億1,900万円)以来の金額規模にとどまった。この低水準は、負債50億円以上の大型倒産が1989年6月以来、26年4カ月ぶりに発生なしだったことが要因に挙げられる。
- 負額別:負債50億円以上の大型倒産が26年4カ月ぶりに発生なし
- 原因別:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が5カ月ぶりに前年同月を上回る
- 形態別:特別清算23件、5カ月ぶりに20件台に増加
- 「チャイナリスク」関連倒産が2カ月連続で調査開始以来、最多の11件
- 「円安」関連倒産が14件、3カ月ぶりの2桁に
- 「東日本大震災」関連倒産が過去最少の4件
- 業種別:スーパー(4→8件)、広告関連業(9→11件)、道路貨物運送業(26→28件)などで増加
- 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が、3カ月連続ですべて(構成比100.0%)を占める
産業別 建設業と小売業の件数が今年最多
10月の産業別倒産件数は、10産業のうち9産業で前年同月を下回った。
こうしたなか、卸売業は130件(前年同月比25.0%増)で4カ月ぶりに前年同月を上回った。月次で100件台になったのは今年7月(121件)以来。内訳では衣服卸売(13→20件)や産業機械器具卸売(8→12件)などで増加が目立った。
一方、建設業は161件(前年同月比5.8%減)で16カ月連続、小売業が115件(同4.9%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回ったが、2産業とも今年最多だった。
また、不動産業は17件(同46.8%減)で4カ月連続、サービス業他が163件(同13.7%減)で3カ月連続で前年同月を下回った。運輸業も31件(同8.8%減)で2カ月ぶりの減少。情報通信業19件(同9.5%減)と製造業100件(同13.0%減)はともに2カ月連続で前年同月を下回った。10産業のうち情報通信業・不動産業・金融保険業が今年最少の件数にとどまった。
地区別 9地区のうち5地区で前年同月の件数を下回る
10月の地区別倒産件数は、9地区のうち5地区で前年同月を下回った。
こうしたなか、関東は296件(前年同月比12.9%増)で2014年9月以来、1年1カ月ぶりに前年同月を上回った。また、四国が21件(同23.5%増)で7カ月ぶり、東北は32件(同23.0%増)で4カ月ぶりに増加に転じた。産業別では関東が繊維・衣服等卸などの卸売業(39→67件)や小売業(31→47件)などの流通関連で増加が目立った。四国は小売業(2→7件)、東北は建設業(2→7件)などで増加をみせた。一方、北陸が16件(前年同月比20.0%減)で14カ月連続、九州は55件(同31.2%減)で5カ月ぶりに前年同月を下回った。近畿は180件(同15.0%減)で2カ月連続の減少。中部89件(同21.2%減)と中国31件(同35.4%減)がそれぞれ4カ月連続の減少。北海道は前年同月同数の22件だった。このうち、四国が今年最多件数だったのに対し、九州は今年最少にとどまった。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
- (株)松本日栄/長野県/パチンコホール経営/46億6,700万円/民事再生法
- (株)エクシブ/大阪府/自動車部品・付属品販売/24億円/破産
- (株)ティオテクノ/佐賀県/半導体用資材・バイオサイエンス用資材製造販売/22億5,900万円/破産
- (株)半沢商事/福島県/ホテル経営/19億円/特別清算
- 東洋マリーン(株)/大阪府/冷凍海老輸入販売/17億6,000万円/特別清算