全国企業倒産状況

2015年7月の全国企業倒産787件

2015年7月の倒産

倒産件数787件 7月としては25年ぶりの800件割れ

 2015年(平成27年)7月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が787件、負債総額は1,200億6,800万円だった。
倒産件数は、前年同月比10.7%減(95件減)で4カ月連続で前年同月を下回った。7月度としては、1990年(482件)以来25年ぶりに800件を下回る低水準だった。金融機関が中小企業のリスケ要請に応じていることや、大手輸出企業を中心とした業績拡大に牽引され景気が底上げされていることも影響した。
負債総額は、前年同月比7.2%減(94億2,400万円減)。3カ月連続で前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産が今年2番目に少ない20件(前年同月比4.7%減)だったのに対し、負債1億円未満の構成比が73.6%(580件)と全体の7割を占め、小規模企業の倒産が大半であることに変化がない。

企業倒産月次推移


  • 従業員数別:5人未満の構成比が今年最高の73.1%
  • 原因別:「運転資金の欠乏」が4カ月ぶりに前年同月を上回る
  • 従業員被害者数が今年最少の3,672人
  • 資本金別:1億円以上が今年最少の3件
  • 「円安」関連倒産が11件、産業別では卸売業が最多の8件
  • 「東日本大震災」関連倒産が過去最少の7件
  • 業種別:宿泊業(3→11件)、飲食業(65→71件)などで増加が目立つ
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が、4カ月連続で前年同月を下回る

産業別 サービス業他と情報通信業が今年最多

 7月の産業別倒産件数は、10産業のうち7産業で前年同月を下回った。
こうしたなか、サービス業他が今年最多の219件(前年同月比1.3%増)で4カ月ぶりに前年同月を上回った。内訳では、宿泊業(3→11件)、飲食業(65→71件)などで増加が目立った。さらに、情報通信業も今年最多の47件(前年同月比27.0%増)になり、2カ月連続で前年同月を上回った。内訳ではソフトウェア業(17→27件)で増加が目立った。
一方、建設業は150件(同23.4%減)で13カ月連続で前年同月を下回った。また、小売業が今年最少の91件(同27.7%減)、運輸業が22件(同12.0%減)でともに4カ月連続で前年同月を下回った。このほか、不動産業が今年最少の17件(同48.4%減)、製造業が114件(同1.7%減)だった。卸売業は前年同月同数の121件、業種別では建築材料卸売(10→14件)などで前年同月を上回った。

2015年7月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 北海道と九州を除く7地区で件数が前年同月を下回る

 7月の地区別倒産件数は、9地区のうち北海道と九州を除く7地区で前年同月を下回った。北海道は29件(前年同月比20.8%増)で5カ月ぶりに前年同月を上回った。九州は58件(同31.8%増)で2カ月連続で増加した。産業別では北海道が製造業(2→7件)、飲食業などのサービス業他(5→9件)で増加をみせ、九州はサービス業他(9→19件)と建材卸などの卸売業(6→13件)がいずれも倍増した。
一方、北陸が18件(前年同月比18.1%減)で11カ月連続、関東は315件(同15.7%減)で10カ月連続で前年同月を下回った。四国が14件(同22.2%減)、近畿が203件(同6.8%減)で、ともに4カ月連続で減少した。また、東北は23件(同25.8%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回り、中部94件(同10.4%減)と中国33件(同28.2%減)はともに2カ月ぶりに減少した。

2015年7月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. (株)goodgo99/東京都/化粧品販売/170億円/破産
  2. つくば管財(株)/茨城県/不動産賃貸・管理/44億円/特別清算
  3. M&Tオリビン(株)/千葉県/リチウム電池用正極材製造/40億円/特別清算
  4. 池田鋼機(株)/山形県/鋼材卸/30億円/特別清算
  5. (株)四条富小路/京都府/陶磁器・ガラス器小売/28億円/特別清算

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