全国企業倒産状況

2015年1月の全国企業倒産721件

2015年1月の倒産

倒産件数721件で低水準が続く 上場企業倒産が17カ月ぶりに発生

 2015年(平成27年)1月度の全国企業倒産は、件数(負債額1,000万円以上)が721件、負債総額は1,680億7,000万円だった。
倒産件数は、前年同月比16.5%減(143件減)で4カ月連続で前年同月を下回った。1月度としては1991年(645件)以来、24年ぶりに800件を下回る低水準にとどまった。金融機関が中小企業のリスケ要請に応じていることや、年末・年明け資金の円滑化が図られたこと、さらに景気対策として実施された公共事業の前倒し発注などが影響した。
負債総額は同46.6%減(1,470億7,900万円減)で、再び前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産が15件(前年同月比28.5%減)にとどまった一方で、負債1億円未満の構成比が75.0%と全体の7割を占め、依然として小規模企業の倒産が目立った。

企業倒産月次推移


  • 上場企業倒産:東証1部上場のスカイマーク(株)が民事再生法の適用を申請し、17カ月ぶりに発生した
  • 負債額別:負債500億円以上の大型倒産が12カ月ぶりに発生
  • 従業員被害者数が6,423人、8カ月ぶりに5,000人を上回る
  • 形態別:特別清算が30件、2カ月連続で増加
  • 従業員数別:5人未満の構成比が70.4%、3カ月連続の70%台
  • 原因別:「事業上の失敗」が4カ月ぶりに前年同月を上回る
  • 「円安」関連倒産が16件発生(前年同月23件)
  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産が16件、12カ月連続で前年同月を下回る
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が719件、4カ月連続の減少

産業別 小売業が9カ月ぶりに前年同月を上回る

 1月の産業別倒産件数は、10産業のうち7産業で前年同月を下回った。
こうしたなか、消費税率引き上げの影響が懸念される小売業は、111件(前年同月比2.7%増)で9カ月ぶりに前年同月を上回った。業種別でみると通信販売・訪問販売小売(3→10件)、機械器具小売(7→15件)で増加が目立った。また、運輸業が43件(前年同月比13.1%増)で2カ月連続で前年同月を上回り、情報通信業が38件(同46.1%増)で8カ月ぶりに増加した。
一方、製造業は105件(前年同月比18.6%減)で18カ月連続で減少した。建設業は131件(同29.5%減)で7カ月連続の減少、飲食業や広告業などを含むサービス業他が170件(同19.0%減)で3カ月ぶりの減少。不動産業は18件(同41.9%減)で、2013年7月(19件)以来、18カ月ぶりに20件を割り込む低水準にとどまった。

2015年1月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち7地区で件数が前年同月を下回る

 1月の地区別倒産件数は、9地区のうち7地区で前年同月を下回った。
こうしたなか、九州は72件(前年同月比4.3%増)で2カ月連続で増加し、業種別では、家具などを含む製造業(6→14件)、飲食料品卸などの卸売業(6→11件)などで前年同月を上回った。また、四国は19件(前年同月比26.6%増)で2カ月ぶりに増加した。業種別では、生鮮品卸などの卸売業(1→5件)で増加が目立った。
一方、北陸18件(前年同月比28.0%減)は、5カ月連続で前年同月を下回り、中部81件(同32.5%減)・近畿159件(同30.2%減)・関東289件(同4.9%減)は、そろって4カ月連続で前年同月を下回った。さらに、東北25件(同24.2%減)と中国35件(同7.8%減)は、2カ月連続で減少した。北海道は23件(同28.1%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。

2015年1月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. スカイマーク(株)/東京都/航空運送業/710億8,800万円/民事再生法
  2. (株)千葉国際カントリークラブ/千葉県/ゴルフ場経営/56億9,100万円/民事再生法
  3. (株)レイネツ/愛知県/鍛工品製造ほか/44億400万円/特別清算
  4. (株)REAL LIFE JAPAN/宮城県/家電製品輸入卸/30億8,200万円/破産
  5. (株)美濃屋吉兵衛商店/神奈川県/水産練製品製造販売/30億円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ